11/10/20 01:45:47.53
様々な懸案がある時だからこそ、日韓の首脳が頻繁に会い、率直に意見交換することが大切だ。未来志向で建設的な協議を
重ね、両国間の課題を一つ一つ前進させたい。
野田首相がソウルを訪問し、韓国の李明博大統領と会談した。首相が、国際会議出席を除く最初の外遊先に韓国を選んだ
のは、野田政権として韓国重視の姿勢を鮮明にしたものと言える。
台頭する中国と向き合い、北東アジアの平和と安定を確保するには、日韓両国が緊密に連携するとともに、米国との同盟関係
を強化することが戦略的に重要だ。
民主党政権で2年間中断していた日韓首脳のシャトル外交を復活させたことは、前向きな動きと評価できよう。
首脳会談では、2004年に中断した日韓経済連携協定(EPA)交渉の再開に向けて実務者協議を加速させることで合意した。
EPA交渉の再開は、08年の李大統領就任以来の課題だ。韓国は米国や欧州との自由貿易協定(FTA)締結を優先し、
対日赤字拡大への懸念から日韓EPAには消極的な姿勢を続けている。
日本が本気で交渉再開を目指すなら、韓国側の関心の高いノリなど農水産品市場の開放や非関税障壁の廃止など、国内
産業の痛みを伴う措置にも、相応の覚悟を持って取り組む必要がある。
大胆な市場開放は、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加にも欠かせない。日韓EPAと同時並行で取り組むべきだ。
北朝鮮の核と拉致の問題で、日韓両首脳は、双方が引き続き連携していくことで一致した。
重要なのは、ウラン濃縮活動の停止や核施設の査察といった具体的な行動を北朝鮮から引き出すことだ。拉致問題でも、
情報共有などの日韓協力が可能だろう。
日本との関係を重視する李大統領の13年2月までの任期中に、一定の成果を出したい。
李大統領は「韓日間には難しい懸案がある。首相は積極的姿勢で臨んでおり、期待している」と語った。「懸案」は、
従軍慰安婦問題を念頭に、あえて直接の言及を避けたと受け止められている。
首相は「大局的見地で前進させる気持ちがあれば、困難な問題は乗り越えられる」と応じた。
歴史認識をめぐる問題が日韓関係全体に悪影響を及ぼすのは避けることが肝要だ。ただ、民主党政権は、関係改善を重視
して、韓国に過剰な配慮や譲歩をする傾向がある。この問題では禁物だ。
ソース(読売新聞・社説) URLリンク(www.yomiuri.co.jp)