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ブラジル政府が輸入車に対する工業品税(IPI)の上乗せ策を発表して1カ月。輸入車代理店の一部が値上げに踏み切ったほか、
14日には世界貿易機関(WTO)の市場アクセス委員会で日本などが懸念を表明するなど波紋が広がっている。同政策はブラジル
に生産拠点を持つ欧米メーカーの保護のために韓中メーカーを狙い撃ちにした色彩が強く、官民両レベルでの綱引きが続きそうだ。
輸入車に対する増税策は、レアル高対策として9月15日に発表。35%の関税とは別に課している、エンジン排気量に応じた
IPIを翌日通関分から30%上積みした。
乗用車の全量を輸入する韓国・起亜自動車の代理店は14日、平均8.4%の値上げを発表。11月以降もさらに値上げする。
ブラジルに生産拠点を持たない独ポルシェの代理店も19%値上げした。
保護主義加速への懸念もある。日本政府は14日、スイス・ジュネーブでのWTO委員会で同様の措置が他国に広がること
を懸念。欧州連合(EU)や米国なども同様の指摘をした。韓国は一歩踏み込み、WTO協定違反の可能性を指摘した。
ただブラジル政府は今回の増税が主要国との本格的な紛争に至る可能性は低いと見ている。恩恵を受ける欧米メーカーが
自国政府に積極的な対応を求めないためだ。
今回の措置はブラジル市場で先行する通称「ビッグ4」(イタリアのフィアット、独フォルクスワーゲン、米ゼネラル・モーターズ、
米フォード・モーター)の意向を受けたとの見方が一般的だ。4社は自社工場を持つうえ増税対象外のアルゼンチンなどから
完成車を供給。影響はほとんどない。
一方、ここ2、3年で急速に販売を伸ばしている韓国の現代自動車や起亜自、中国各社などはほぼ全量を自国から輸入
しており、直撃を受ける。
日本メーカーでもブラジルやメキシコでの工場が未完成のスズキやマツダは影響が避けられない。ブラジル政府が「国内の
売上高の0.5%を開発投資に充てること」を増税免除の条件としていることも懸念要因。「開発投資」の定義は曖昧なままで、
恣意的な線引きをされれば設計・開発拠点を構えるビッグ4が圧倒的に有利。ホンダやトヨタ自動車など現地生産する日本
各社は「研究投資」への無言の圧力を受けているといえる。
ソース(日本経済新聞)
URLリンク(www.nikkei.com)