11/10/16 09:01:31.26
2006年末、非正規雇用者(パートタイマー、契約社員など)に対する差別を解消するため「非正規雇用者保護法」を施行
してから5年近くがたった。だが、非正規雇用者の数はむしろ増加し、賃金の格差はさらに拡大している。韓国政府の統計による
非正規雇用者の数は、06年の545万人から、今年は577万人まで増加した。また、正社員に対する非正規雇用者の賃金の
割合は、07年の64.2%から、今年は57.3%まで低下した。
非正規雇用者たちの不満は今や、爆発寸前の状況に達している。正社員と同じ仕事をしているにもかかわらず、賃金や保険
などの福利厚生面で差が大きいという公平性の問題もさることながら、非正規雇用者の問題は韓国社会に多くの問題を
生じさせる根源となっている。若年層が正社員になることは夢のまた夢だ。正社員になるために皆がこぞって有名大学を目指すことが、
受験競争の過熱化など、日増しに深刻化する教育問題の一因となっていることは、すでに知られている通りだ。
それにもかかわらず、こうした問題に対する韓国社会の関心はあまりにも薄い。与党ハンナラ党は「非正規雇用者特別委員会」
を設け活動してきたが、先月打ち出した対策は▲5人未満の零細事業所に対し、社会保険料の3分の1を支援する▲休暇の
取得や成果給、作業服、旧正月(旧暦1月1日)や秋夕(チュソク=中秋節、今年は9月12日)のプレゼントの支給などにおける
差別を禁止する-という程度の不十分なものだった。非正規雇用者の問題に正面から取り組むのではなく、秋夕に当たって
国民のご機嫌取りをし、恩着せがましく振る舞ったにすぎない。野党・民主党も今年7月「2017年までに労働者全体に占める
非正規雇用者の比率を30%に引き下げる」と約束したが、今の関心事といえば給食の無料化だけだ。
非正規雇用者の問題は、企業の労使双方や政界の問題だけにとどまらず、企業の生産性や国際競争力などが絡み合った
問題だが、うまくアプローチすれば、時代の流れに乗ると同時に国民の心もつかめる魅力的なテーマに違いない。まず、家族まで
含めれば、非正規雇用者は韓国の人口の半分を占めている。政府の統計による非正規雇用者の数は577万人だが、労働界の
推計によれば、雇用期間が1年未満の臨時社員・職員や日雇い労働者を含めた場合、862万人に達するという。862万人と
いえば、韓国の労働者全体の数(1706万人)の半数以上を占め、また3人家族を基準とした場合、非正規雇用者の家族は
2500万人に達する。
非正規雇用者の問題解決に向けた突破口を開くことができれば、現在最もナーバスな問題となっている福祉の問題もたやすく
解決できる。国民の所得不均衡を是正できれば、福祉のためのコストを削減でき、福祉施策の展開もやりやすくなる。高麗大の
張夏成(チャン・ハソン)教授は「給与所得者の半分が非正規雇用者という現実は正常とはいえない。雇用の構造を変えずに
分配や福祉を重視するだけでは、韓国社会での対立を解消することはできない」と指摘した。
参考にすべき成功モデルもある。オランダは1982年、労使双方と政界の話し合いによって「バセナル協約」を締結した。賃金の
引き上げを抑制し、労働時間の短縮を通じて雇用を創出し、非正規雇用者の法的地位を向上させるなど、非正規雇用者と
正社員が同じ待遇を受けられるようにするという内容だ。
こうした課題に政治家たちはなぜ、勝負を懸けて積極的に取り組もうとしないのか、不思議でならない。非正規雇用者の問題を
解決するための具体的なビジョンや実践案を示すグループが出てくれば、左派であれ右派であれ、一度は国を任せてみようと思う
ものだ。
キム・ミンチョル社会政策部次長
ソース(朝鮮日報)
URLリンク(www.chosunonline.com)