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米上下両院が韓国との自由貿易協定(FTA)の実施法案を可決した。今後、韓国側の批准手続きを経て、来年1月にも
発効する見通しとなった。このまま傍観していては、日本は世界の貿易自由化の流れに取り残されるだけである。
米韓FTAは工業品など、ほとんどの関税を5年以内に撤廃する。米国はとくに農産物、韓国は自動車や関連部品の輸出増
を期待している。
米議会の承認にあわせて、ワシントンでは米韓首脳会談が開かれた。オバマ大統領は「両国の勝利だ」と表明した。李明博
大統領も「米韓同盟に新たな一章を開いた」とFTAの成果を強調した。
韓国は7月に欧州連合(EU)とのFTAも発効している。米国を含めると、韓国のFTA対象地域は輸出総額の4割近くとなり、
日本の約2倍となる。日韓の輸出産業は自動車や電機など競合分野が多い。このままでは日本企業が一段と厳しい競争条件
にさらされてしまう。
日本政府は、なお予備交渉の段階にあるEUとの経済連携協定(EPA)が早期に本交渉入りできるよう努力すべきだ。
米国が加わる環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加の決断も待ったなしである。
農業保護は日本と同様に、韓国にとっても頭の痛い問題だ。それでも李政権は「FTAは韓国が生き残る道」と明確な路線を
貫く。交渉では最も敏感なコメを関税撤廃の対象から除外するとともに、農業の競争力や生産基盤を強める支援策を打ち出す
ことで国内を説得した。日本も学ぶべきことが多いのではないか。
要は政権の指導力の問題だろう。
FTA戦略で先行する韓国の次の目標は、最大の貿易相手国である中国ともいわれる。中国もTPPなどへの対抗上、中韓の
FTAに極めて前向きだ。ただ、市場経済が定着していない中国との間で、関税撤廃の内容も含めて高い水準の協定が結べるか
どうか。やはり日韓がまずは質の高い協定を実現し、アジアの手本とすべきだろう。
野田佳彦首相は18日から韓国を訪問する。日韓のEPA交渉は2004年以来、中断したままだ。李大統領とのトップ会談を
通じて、早期の本交渉再開につなげてほしい。
ソース(日本経済新聞・社説)
URLリンク(www.nikkei.com)