11/10/09 17:48:16.00
すし職人の中澤圭二さん(48)がガラスケースの中から白い布巾に包まれたネタを取り出し、
高価な貴重品でも取り扱うかのように、ゆっくりと布巾を開いた。すしネタ用に切り分けられた
マグロだ。よく見ると、一般的によく目にする鮮明な赤い色ではなく、やや灰色がかっており、
もう少しで腐るのではないかと感じられた。中澤さんは「これは10日ほど熟成させたマグロの
トロだ」と説明した。中澤さんが鋭い包丁でトロを切り分け、シャリとともに握ると、一貫のトロ
のでき上がりだ。中澤さんは「これが本当の江戸前ずし」と静かにつぶやいた。
中澤さんは日本で「トップクラスの実力を持つすし職人の一人」と言われている。新宿にある、
中澤さんが経営する「すし匠」は、座席数が11席しかない小さな店で、予約しないと入れない。
客単価はおよそ3万5000円とかなり高級だが、店内はいつも客で一杯だ。営業時間は午後6時
からの1部と、同8時30分からの2部制となっており、いずれも連日満員になる。世界的なレスト
ランガイド「ザガット・サーベイ」東京版のランキングでも1位に選ばれるなど、東京では最高の
すし店として知られている。そんな中澤さんは「すし職人が選ぶ最高のすし職人」に選ばれた
こともある。
中澤さんは「最近の一般的な(刺し身をのせる)すしは、わずか50年ほどの歴史しかない」と
語る。すしの始まりは7世紀ごろ、フナなど淡水魚の内臓を取り除いたものを塩漬けにし、そこ
に飯を入れて発酵させて作ったものだという。食醢と呼ばれる韓国料理とよく似ている。それが
16世紀になると、魚の腹ではなく、弁当箱のような木枠に飯と切り分けた魚を入れ、短くて数日、
長い場合は数カ月間熟成させて食べるようになった。
そして19世紀半ば、江戸では酢飯に熟成させた魚をのせて食べるすしが登場した。江戸城の前
で売られたことから「江戸前ずし」と呼ばれた。今では一般的となっている鮮魚や活魚のすしは、
冷蔵・冷凍技術や低温流通システムが整った1950年代から60年代に登場した。現在、日本では
熟成させた魚と生の魚をネタとして使用するすしの双方を「江戸前ずし」と呼ぶ。
中澤さんは「熟成させた魚を使用したすしが本来の江戸前ずし」と語る。78年にすし業界に足を
踏み入れた中澤さんによると「新鮮な魚を使うすし店が東京に現れるようになったのは60年代
からで、80年代後半からは熟成させたネタを使うすしがほとんどなくなり、新鮮なネタばかり
になった」という。中澤さんが93年にすし匠を開業した当時の思いは「江戸前ずしの原点に返
ること」だった。中澤さんは「以前は技術がなかったためネタを熟成させたが、私が魚を熟成
させるのはうま味を出すためだ」と話した。
>>2へ続きます
朝鮮日報 2011/10/09
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★1の立った日時:2011/10/09(日) 14:19:32.39