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ツイッター・ブログ：注意必要 気軽な書き込み、「炎上」呼ぶ恐れも 識者の話
◇「見られている」意識、エスカレート－－東京大大学院（社会心理学）橋元良明教授
私の研究室で１０～６０代のネット利用時間を調べた（「日本人の情報行動２０１０年調査」）が、１０代で
平均１日７８分、２０代は１１０分で、テレビ視聴と並ぶ情報行動の中心になっている。別の調査を見ても、
韓国やアメリカ人はゲーム依存者が多いが、日本ではＳＮＳなどの書き込みに時間を費やしている人が多い。
依存症状がある人は「公的自意識（人に見られているという意識）」が高い。初めは日常的なことを書いて
いて、だんだん「つまらないことを書いたらばかにされる、読者が離れてしまう」という強迫観念が生まれる。
高校生が「酒を飲んだ」などと書いてしまうのはこのためだ。彼らは一方で憂鬱感、孤独感が強い傾向もあり、
ネットに依存するのはその裏返しだ。
「身元を調べられることはないが、仲間内では『ヒーロー』になれる」。そんな軽い気持ちで書いてしまう
のではないか。昔は情報誌に投書したようなことだが、投稿先がネットになると反応は速くて大きい。マスコミで
取り上げられるなどして、大きな社会的制裁を受けることになる。やってしまった人は例外なく、その重大さに
ショックを受け、後悔していると思う。
◇「非正規雇用の増加」が背景に－－サイバー犯罪に詳しい岡村久道弁護士
未成年者の飲酒行為や学生のカンニングなど、ネット上に自分で自分の行為を投稿する傾向は、「駅で
通り魔をする」といった犯行予告に代わって、最近目立ってきた。こういった投稿は「裁判外の自白」となり、
放置できない法律違反があれば、警察などが捜査を始める端緒になる。微罪であれば、不起訴になる可能性も
高いが、それ以外に世論の非難があるので、会社の従業員であれば懲戒処分の、学校なら校則にのっとった
処分の対象になりうる。自主的に退職、退学を余儀なくされるなど、社会的な制裁を受ける。
一方、従業員が勤務先やホテルに「有名人が来た」などと投稿するのはプライバシー侵害だ。罰則はないが
損害賠償の対象になり得る。実際に訴訟になったケースは聞かないが、それは店側が誠意をもって対応して
いるからだろう。
こうした騒動が目立つようになったのは、飲食店やホテルなどに非正規雇用が増えている現状と「合わせ鏡」と
言えるのではないか。学生に職業倫理を求めることは難しく、企業の内部規定なども適用外の可能性がある。
それらを教わる状況にもないことが背景にある。
毎日新聞 2011年9月17日 東京朝刊
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