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太陽電池産業には、世界の大企業が未来の成長分野として、集中投資を行ってきた。業界はそれ
を「太陽電池のゴールドラッシュ」と呼ぶほどだ。太陽電池事業には各国政府も巨額の補助金を
支給する形で加わった。企業の集中投資と各国政府のてこ入れ策により、太陽電池産業は最近
5年間で年平均43%の高成長を遂げた。
しかし、今年に入って状況は一変した。太陽電池の完成品であるモジュールの生産能力が前年
比で50%以上伸びたにもかかわらず、市場は10%の成長にとどまった。突然需要が低迷し、関連
企業の業績も落ち込んだ。太陽電池モジュールの価格は昨年末の1ワット当たり1.74ドル(約135円)
から先月には1.18ドル(約91円)へと32%も下落した。光り輝いていた太陽電池産業は影が差し始め
たという警告も聞かれるようになった。
■米独の大手メーカー、倒産の危機
市場調査会社のソーラー・アンド・エナジーなどによると、韓国の太陽電池最大手、現代重工業
の今年第2四半期(4-6月)の太陽電池売り上げは7500万ドル(約58億円)で、前四半期の1億
3700万ドル(約106億円)の約半分に落ち込んだ。同社の太陽電池モジュール工場の稼働率は
50%前後にとどまっているという。
今年前半、シンソン・ソーラー・エナジー、STXソーラー、Sエナジーなど韓国に拠点を置く太陽
電池セル・モジュール・メーカーは軒並み赤字を計上した。
太陽電池産業をリードしてきた欧米企業は、倒産の危機に直面している。先月から今月初めにかけ、
米国のエバーグリーン・ソーラー、スペクトラワット・ソーラー、ソリンドラが中国製太陽電池の安値
攻勢と市況低迷に耐えられず、会社更生手続きの適用を申請した。ドイツの太陽電池大手、キュー
セルは第2四半期に約4億5000万ドル(約348億4000万円)の営業赤字を出し、経営譲渡の動きが出ている。
こうした中で利益を出しているのは、中国と米国のごく限られた企業だけだ。大手メーカーのうち、
中国のインリー・ソーラー(英利緑色能源)、トリナ・ソーラー(常州天合光能)、米国のファースト・
ソーラーは第2四半期に5-12%の営業利益率を守った。中国最大手の太陽電池セル・モジュール・
メーカー、サンテック・パワー(尚徳太陽能電力)は、同四半期に1億7000万ドル(約132億円)の営業
赤字を出し、中国での業界トップの座をインリーに譲った。
太陽電池メーカーが相次いで赤字に転落した最大の理由は、欧州の財政危機だ。ドイツ、スペイン、
イタリアなど世界最大の太陽電池需要国で、太陽電池普及のための予算は削減されたにもかかわらず、
中国に拠点を置くメーカーが攻撃的に生産能力を拡充し、世界的に供給過剰状態となった。
業界では、インリーなど大手中国メーカーが生産する太陽電池モジュールの原価は1ワット当たり
1.0-1.2ドル(約77-93円)で、韓国、欧米勢の1.4ドル(約109円)を下回るとみている。現在のモジュール
価格が1.18ドルだとすると、大半のメーカーは売れば売るほど赤字が拡大することになる。 太陽電池
部品メーカー、LSTエナジーのイム・ジョンマン代表は「太陽電池は他の産業よりも一人勝ち式の経済
論理に支配されている。現時点ではインリー、トリナなど中国の大手メーカーの有利なゲーム展開だ」と分析した。
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■後発の韓国勢にはチャンスか
大手太陽電池メーカーが破綻した場合、後発のサムスン、LG、ハンファなど韓国の大企業が企業
買収で太陽電池事業を本格化させるのではないかとの見方もある。中国、米国、ドイツの大手
メーカーは既に韓国企業に身売りを打診したとされる。太陽電池産業が動揺すればするほど、
後発の韓国企業にとっては、合併・買収(M&A)による参入機会が高まることになる。サムスン、
LGなど韓国の大企業は、太陽電池の原材料となるポリシリコンには投資を行っているが、完成品
の太陽電池モジュールには本格的な投資を行っていない。ソーラー・アンド・エナジーのキム・
グァンス代表は「太陽電池産業は低迷しているように見えるが、数量ベースでは依然として伸び
ている成長産業だ。現在は市況が悪くても、来年以降はビジネスチャンスが再び訪れる」と指摘
した。
扈景業(ホ・ギョンオプ)記者
朝鮮日報 2011/09/12
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