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金言:日韓連携の相乗効果=西川恵
<kin-gon>
日韓の学者、政治家、ジャーナリストらが両国問題を中心に話し合う第19回日韓フォーラムが8月24~
26日、ソウルで開かれた。議論を聞き、また議論に参加して感じたのは、竹島(韓国名・独島)問題での政
治的あつれきの一方で、両国の相互依存と補完関係が強まっていることだ。
先月初め、竹島に近い鬱陵島(ウルルンド)を訪問しようとした自民党国会議員が、韓国政府によって入
国を禁止された。その前の5月、韓国野党の国会議員が北方領土の国後島を訪問したことが日本側を刺
激し、鬱陵島訪問につながったと見られている。両国の一部国会議員の言動でナショナリズムがあおられ、
相手国に対する負のイメージが広がる。
フォーラムで両国の経済人が「我々が知る日韓関係の実態と大きな食い違いがある」と指摘した。竹島
問題に目を奪われ、進行中の相互依存関係のダイナミズムを見落とさないでほしいというのだ。
ある外交官からマダガスカルで進行中のプロジェクトの話を聞いた。住友商事と韓国鉱物資源公社がカ
ナダ企業とニッケル、コバルト開発を進めている。来年から生産が始まり、ニッケルは年産6万トン(世界
全体の4%)、コバルトは5600トン(同9%)の大規模プロジェクト。マダガスカルで2009年、政変があり、
新政権がプロジェクトに冷淡になった時、日韓はタッグを組んで、カナダと共に契約順守を強く申し入れた。
「経済協力開発機構(OECD)によると2030年には世界で71兆ドルのインフラ市場が形成される。日
韓の企業連携でこれを取りにいくべきだ」と、この外交官は言う。
マダガスカルは一例で、プラント・インフラ、資源開発で日韓の企業連携の新しい流れが生まれている。
モロッコ(石炭火力発電所建設)、アブダビ(発電事業)、インド(地下鉄車両)、ブラジル(鉄鉱石生産)、
インドネシア(液化天然ガス製造販売)……。連携中の事業総額は1兆7500億円にのぼる。
ソウル在勤の商社社長はこれを「互いの長所を生かした補完関係」と言う。日本企業は長年の海外事
業で養ったノウハウと先端技術と資金調達力。韓国企業はコスト競争力と決断の早さ。欧米や中国が新
興国市場で受注攻勢をかけている時、日韓連携は面白い相乗効果を生み出している。
竹島問題は今後も平行線だろう。「分母(協力)を大きくし、分子(対立)を相対的に小さくしていくべき
だ」と日韓の経済人たちは異口同音に語った。政治が経済を人質にとり、新しい協力の流れに冷水を
かけることは避けねばならない。(専門編集委員)
ソース:毎日新聞 2011年9月2日 東京朝刊
URLリンク(mainichi.jp)
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★1の立った日時:2011/09/02(金) 12:44:14.70