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韓国有名大学教授が抱く「韓流ブーム」への危機感
2011.07.30
チャミスルが教授の辛口を加速
ペ・ヨンジュン主演「冬のソナタ」で日本の韓流エンタメブームの幕が一気に開けたことは、皆さんの
記憶にもあるだろう。当初は中年女性限定の、一過性のコンテンツと思われたが、あれよあれよと
いう間に若年層にも浸透。音楽では東方神起を皮切りにKARAや少女時代などのK-POPアイドルがオリコン
上位を独占し、音楽番組でも韓国語字幕が付けられ、韓国ドラマが連日ヘビーオンエアされるほどの
韓流熱が日本を席巻している。
だが一方では、この雰囲気に抵抗を感じている人々も存在する。俳優・高岡蒼甫が韓流コンテンツの
氾濫ぶりにツイッターで苦言を呈し、騒動となったが、ネット上では「共感できる」という声も多く、
じょじょに「韓流飽和状態」へのアレルギーが表面化してきた様相だ。
当の韓国人はこれに何を思うのだろうか? 韓国の名だたるスターが卒業生に名を連ねる、韓国の
某有名大学教授が特にK-POPブームをぶった斬った。
「私は韓流ブームなど認めません」
チャミスルでだいぶ酔いが回っているのか、語り口がストレートだ。
「韓流ブームは’80年代の韓国車と似ている。さしてオリジナリティがあるわけではないが、輸出
さえ上手くいけば良いので、ひたすら同じものを作っては売り、作っては売ることに全力を注ぐ。
韓流、特にK-POPなどは完全にそれを踏襲している。見た目の良い人間を集めて、レッスンを施し、
適当な歌をあてがってデビューさせ、極限まで利益を上げてはポイ捨てし、次の『商品製作』に
取りかかる。ここ数年、それの繰り返しです。もはや音楽文化ではなく資本主義そのものです」
日本の音楽を公に聞けない時代、八代亜紀を密かに聞き続けていたという教授は、音楽は文化伝導の
役割を果たすべきだと主張する。教授はSPA!読者とほぼ同年代。八代亜紀は若干古い気がするが……。
「古くたっていい。八代からは日本の心が感じられたから。それを通じて日本の文化や生活感情を
学ぶことが多かったのです。ところが今のK-POPから、韓国のことがどれだけ伝わりますか?
映画『ラスト・サムライ』や『SAYURI』は、セリフは全部英語だがかろうじて日本のことは
伝えている。K-POPは歌詞こそ韓国語だが、そこに込められたものは韓国的とは言えません。
今のままでは商業主義的な醜さしか伝わらないと思います。行きすぎたブームによって、
日本人が韓国について誤解し、嫌悪するようなことになったら非常に悲しいです」
ところで韓国では、韓流について文句を言ったら責められたりしないのか?
「全然。言う人は堂々と言ってますよ」
ここから、教授の「持論」が始まった。
「今後長い年月のうちに、中国が北を完全に取り込み、韓国に侵攻してくることだってありうる。
そこでカギとなるのが、『韓流』ではなく『南北流』を作り上げることです。北と共同戦線を張って
一体化した文化を作り上げれば、政治的な干渉を防ぐ力に十分なりうると私は思います。もともと、
同じ民族なのですから」
文化からの統一が必要、という教授の主張はきわめてまっとうである。ただ記者には、北と南の
エンタメに共通点を見出すのは非常に困難に思えるが……。
「実は、私自身もまったくイメージがついていません……チャミスル ト チュセヨ!(チャミスルもう一本ください)」
南北分断も孕むあたり、韓流ブームがあらゆる意味で興味深いものに思えてくる。ともかく、韓流ブームの推移を見守りたい。
取材・文/玉
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