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日本が原子力発電所2基の建設受注で基本合意したベトナムのグエン・タン・ズン首相に
対し、韓国の李明博大統領が5月下旬、原子力発電に関する協力を推進する旨の親書を
渡していたことが26日、分かった。ベトナム側も韓国に使節団を派遣するなど前向きだ。
日本の原発輸出では、トルコとの交渉で、トルコ側が日本との優先交渉を月内に打ち切る
意向を示すなど「日本外し」が加速している。菅直人首相の思いつきによる「脱原発宣言」で、
日本の原発輸出戦略が最大の危機を迎えた。
韓国はベトナムの原発受注に官民挙げて取り組んでおり、ズン首相への親書は、李大統領が
大統領特使としてベトナムに派遣した政府高官が手渡した。
ベトナム政府は7月11~15日、閣僚を含む20人規模の原子力使節団を韓国に派遣した。
ベトナムと韓国は原発やエネルギー資源、産業技術など包括的な協力を検討する機関設立を
進めており、日本側からは「韓国に原発受注を奪われかねない」との声が出ている。
ベトナムの原発受注は平成22年10月、菅首相がベトナムを訪問しズン首相と首脳会談で
合意した。だが最終契約には至っておらず、菅首相は今月13日の記者会見で「脱原発」を
表明。21日の参院予算委員会では原発輸出について「もう一度議論をしなければならない
段階にきている」と見直しを示唆した。こうした発言が「日本は原発輸出を断念する」という
観測を広めているようだ。
ベトナムでの受注が取り消されると、原発受注に伴い日本側が表明した総額約790億円の
政府開発援助(ODA)などの支援策が無駄になる。原発1基あたりの受注規模は3千億~
5千億円で、数千億から兆単位の損失になりそうだ。
トルコの不信感はさらに強い。トルコ側は東京電力福島第1原発事故後、日本との交渉が
進展しないことに不満を募らせており、海江田万里経済産業相は26日の閣議後会見で
「経産省職員をトルコに派遣した。日本の状況や政府の考え方をしっかり説明する」と対応に
追われている。
トルコなど新興国は、自前のエネルギー源としての原子力への期待が依然高く、経産省
資源エネルギー庁幹部は「これまで原発の技術開発を主導してきた日本が原発の
安全性向上に取り組むのは国際的な責務」との思いが強い。だが菅首相の「脱原発」発言が
障害になり、経産省と官邸の調整も進んでいない。
原発メーカーにも懸念が広がっている。日立製作所の川村隆会長は22日に長野・軽井沢で
開かれた経団連フォーラムで「震災後も海外からは『質の高い原発が欲しい』といわれている。
菅さんが何と言おうと海外展開はやる」と強気の姿勢を強調した。だが、国内原発関連
メーカー首脳は「(菅首相の脱原発発言を)ベトナムやトルコの首相が聞いたらどう思うのか。
原発輸出は国際公約なのだから、菅首相はもう少し考えて発言した方がいい」と怒りを
募らせている。
▲msn産経(2011/07/27 01:30)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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