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心の片隅には常に罪悪感があった。過ちというものでもないが、自分のことをすることがあたかも
大きな過ちを犯しているようだった。結婚直後、嫁としての役割が何よりも重要だという婚家と実家
の勧めでまず子どもから出産した。それから留学だの就職だのと国内外を転々とする夫について
1年に1回は転居した。その間に生まれた2人目の子どもは病気が多く、そのためにほぼ終えかけ
ていた博士課程までもあきらめて帰国しなければならなかった。実家の母からも子どもの命が
重要か、自分の欲が重要かと言われると、言い返す言葉がなかった。
最近、ある地上波放送の週末ドラマに、主婦になってから職業を持つ女性の話が出てくる。結婚
初期は夢をあきらめて妻・母としての役割をしていた主婦が、後に留学して美術館のキュレーター
になったり、また放送作品の公募で当選して作家になったりする。もちろん現実性は落ちるが、
韓国女性のファンタジーが非常に興味深く具現されている。問題は現実での障壁がこういうファン
タジーですら登場するという点だ。
姑を含む夫の家族は夫の内助者としての嫁の役割をきちんとできていないと冷たい視線と言葉
を浴びせ、さらには働く嫁に夫と子どものための‘肥やし’になれとまで堂々と主張する。こうした
圧迫で、嫁は張り切って通っていた職場を休んだり、任務を果たせず非難を受けたりする。現実
なら会社員としてあまりにも無責任な行動だが、ドラマでは個人をあたかも人生の重大事業の
ように扱い、あたかもそれが家族のために女性だけが体験しなければならない神聖なものの
ように感じさせる。夫の能力より優れた女性の社会参加はすべて罪悪であり、あたかも家事を
軽視した見返りに得た不当収益のように感じさせる。
週末に時々このドラマを見ていると、役割混迷で心的な苦痛が激しかった自分の過去が思い出
され、感謝すべき夫にわけもなく怒りがこみ上げてきたりもする。視聴者にこれほど感情移入を
起こさせたとすれば、このドラマは間違いなく成功したのだろう。作家はおそらく視聴者にこうした
反応を計画的に引き起こさせたはずだが、しかし惜しまれるのはこのドラマには父がいても夫は
いないという点だ。
類例なく家父長的だと知られ、国際的にも人気がない韓国の男性はこのドラマでもやはり頼もしい
配偶者の役割を果たせずにいる。こうした偏見は過去の残滓にすぎないという点が最近立証され
ているが、それは他でもない韓流を通してだ。K-POPに熱狂する外国の若い女性にとって
韓国の男性はあこがれの対象だ。こうした外国女性にとって韓国の男性はセクシーで躍動的で
ありながら、感受性があふれる繊細な存在だ。こうした現象が錯視でなければ、韓国男性は婚姻と
同時に遺伝子の変形が起きるのだろうか。急に気になり始めた。十分に学界の注目を受ける研究
テーマだ。
イ・スジョン京畿大犯罪心理学科教授
中央日報 2011/06/28
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