11/05/23 10:55:14.28 B3GJgTX+
>>668
○委員長(吉川末次郎君)
午前に引續きましてこれより委員會を再開いたします。
先ず私からこの際芦田内閣總理大臣兼外務大臣に御質問申上げたいと存じます。
か先般來本委員會におきましては、治安の見地から日本に在留いたしておりまする朝鮮人の犯罪問題につきましては、特に多大の關心を抱きまして、今日までいろいろ研究を續けて參つたのでございますが、
たまたま本日の四日から七日に亙りまして、靜岡縣濱松市において、同市在住のテキ屋、及び興行師の親方であるまする小野某なる縣會議員を主盟といたしまする小野組一家の者と、朝鮮人とがそれぞれ約二百名ばかりずつ、
何れも徒黨を組みまして、同市内數ヶ所において、それぞれピストル、獵銃、竹槍その他の武器を以て爭鬪いたしまして、これを少しく大袈裟に申しまするならば、市街戰を演出いたしまして、死傷者十數名を出しました。
同市の自治體警察は、靜岡縣國家地方警察及び附近の自治體警察、竝びに岐阜縣駐在の進駐軍の應援によりまして、漸くこれを一時的に鎭壓いたしたのであります。
又これと似たる事件は、時を同じういたしまして、愛知縣犬山町にも起り、これ亦專ら進駐軍の應援下にこれを鎭壓するに至りました。
これらの二つの事件につきましては、我々の委員會におきまして派遣議員から昨日の本委員會においてこれが顛末を報告するところがあつたのでございます。
更に二、三日來の新聞、特に本日の新聞の報道によりますれば、兵庫縣廳におきましては約一千名、大阪府廳におきましては約一萬二千名の朝鮮人が、朝鮮人學校閉鎖の件に關連いたしまして騒擾を起しまして、
兵庫縣知事、神戸市長、警察長等は約四時間に亙つと朝鮮人のために監禁され、岸田兵庫縣知事のごときは、當日朝鮮人の威嚇に遭つて、その學校閉鎖命令を徹囘するの醜態を演じた旨が傳えられておるのであります。
これらの事件につきましても、亦昨日の本委員會におきまして政府當局より、これが顛末を聽取するところがあつたのでございます。
これら朝鮮人犯罪の處理、及び在留鮮朝人を今後如何に處理するかということは、ひとり治安維申の觀點よりいたしましても重大なる問題であるばかりでなく、亦國際外交の點よりいたしましても、
政府において深甚の考慮を以てこれが對策を講じらるべきものであると考えるのであります。右についての芦田さんの總理大臣及び外務大臣としての御意見を承りたいと思うのであります。
これにつきましては、一般の日本警察機能の低下、その他諸般の事項がこれが原因として考えられるのでございますが、又特に敗戰後國民全體が一樣に卑屈なる喪心的状態にあるに應じまして、
在留朝鮮人の一部の中には、自己を以と戰勝國民と同樣の地位にあるものとの誤解に基いて、日本國及び日本國民に對するに当り、日本の法律を無視して治安を紊亂するの行動に出でたるものでありまするけれども、
その對策を當時の政府において確定するに至らず、ますますこれを増長せしめ、その後昭和二十一年二月軍政部の指令によりまして、
從來の日本の統治權の下にありました朝鮮人臺灣人等は、日本人と同樣の刑事裁判權の下に服すべきが明確化されるに至つたのであります。
然るに今尚日本國民及び在留朝鮮人の間にこのことが十分徹底するに至らないということが、
差當り今囘の事件のその主要原因となつていると思われるのであります。
我々は決して古い民族感情に基く偏見によつてこれを處理するのでなく、飽くまで日鮮兩國民の融和の精神に基いて、これが解決を欲するものでありますけれども、
又敢て日本人であるからと言つて、悪事を容赦することができないと同樣に、朝鮮人であるからと言つて悪事をなし、
或いは治安を害するようなものがありましても、そのままにこれを認容しておくということは許し得ないのであります。
これに對しまして芦田首相兼外相の確然たる決意の程をこの機會に國會を通じまして、日本國民及び朝鮮人の前に明示せられんことをお願いするのであります。
他の委員の諸君からも更に御質問もあらんかとも察しますが、私より先ず以上のことをお尋ね申上げる次第でございます。どうぞ御答辯を願いたいと存じます。