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経営破綻した消費者金融大手、武富士の支援スポンサーに韓国の同業大手、A&Pファイナンシャルが決まった。破綻原因と
なった契約者への過払い利息の返還から開放され、身軽になった武富士を買収し、そのブランド力を生かし日本市場に進出する。
ただ、経営トップも含めA&Pの実態はよく分かっていない。スポンサー選定をめぐっても、破綻の責任を負い経営から離れた創業者
一族の武井家の意向が働いたとの指摘もあり、不透明な部分が多い。
■謎の経営者
「資金提供や事業の規模などから、スポンサーにふさわしいかどうかを判断した」
武富士の管財人をつとめる小畑英一弁護士は今月6日、東京都新宿区の武富士本社で会見し、A&Pを選定した理由を
説明した。
A&Pは最終入札で米投資ファンドのサーベラスや国内消費者金融のJトラストなど3社を退け、優先交渉権を獲得。東京地裁
の許可を受け、4月27日にスポンサー契約を結んだ。
韓国では、「ラッシュ&キャッシュ」のブランド名で消費者金融業を展開。同社を中核とする金融グループの貸付残高は約2兆
800億ウォン(約1560億円)に上り、韓国では最大の規模を誇るという。
ただ、日本ではその実態はほとんど知られていない。6日の会見には、経営トップは姿を見せず、プロフィルも不明。小畑氏は
「40歳代の在日韓国人。武富士再建に情熱を持っている」とコメントしただけだった。
■利息返還5%以下
武富士買収の狙いは何なのか。複数の企業がスポンサーに名乗りを上げたように、買収メリットは小さくない。
会社更生法の適用を申請したことで、過去に取りすぎていた利息の返還も、他の債権と同様に大幅にカットできる。返還請求は
約90万件、総額約1兆3800億円に上るが、「弁済率はわずか5%以下にとどまる」(関係者)とみられている。
再建計画案では、武富士を消費者事業に専念する承継会社と、債権者への弁済を行う処理会社の2つに分割する方針。
利息返還はほとんどが免除され、処理会社の資産の範囲内で支払われるため、スポンサーにはほとんど追加の資金負担は
生じない。
プロミスやアコムなどライバルは、武富士破綻を契機に利息返還請求が急増。平成23年3月期決算で最終赤字となるなど
苦境にあえぐのを尻目に、武富士の継承会社は、新規顧客の開拓など積極的に売って出ることができる。
またライバルが店舗閉鎖などリストラに追われるなか、武富士には約130店が残っているのも強みだ。A&Pは韓国で有人店舗に
よる対面販売で事業を拡大しており、「日本でも十分にノウハウを生かせる」(業界関係者)と、同業者は警戒を強めている。
■格下同業を排除
一方で、スポンサー選定をめぐっては、不透明さが指摘されている。
最終入札に残ったJトラストの関係者は、「管財人に伝えた情報がすぐマスコミに漏れるなど、守秘義務が守られていなかった」と
不満を漏らした。Jトラストを意図的に排除するような動きの背景には、「格が下の同業者の傘下に入ることを嫌がった創業家の
意向がある」と、業界関係者は解説する。
武富士は故武井保雄氏が一代で築き上げ、ワンマン経営から“武井商店”とも揶(や)揄(ゆ)された。だが、破綻で創業家の
持ち株はゼロとなり、次男の健晃氏が副社長から退き、縁は切れたはずだった。
だが、今も社内に多く残る、保雄氏を信奉する役員や社員が、継承会社に残ることで、「創業家の影響力が温存される」(業界
関係者)との見方は多い。
保雄氏の遺産相続をめぐり、元専務で長男の俊樹氏が追徴課税の取り消し訴訟に逆転勝訴し、国から約2千億円もの還付
を受けるなど、創業家には多くの資産がある。利息返還を請求した債権者らは私財提供を求めており、創業家への批判は根強い。
国内金融機関も破綻前から、不透明な経営体質を敬遠し、融資に慎重な姿勢を続けてきた。創業家の影響力が残ったまま
では、利用者や金融機関の信用を得るのは難しい。
(以下略)
ソース(SankeiBiz) URLリンク(www.sankeibiz.jp)