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中国に進出した日系企業は、日本との法律の違いに頭を抱えることが多い。日本とは大きく異
なる政治体制や文化の中で、どのような戦略で法への対応を行うべきなのだろうか。今回は、
IT関連法について整理してみよう。
■突然、インターネットの接続停止を迫られ・・・
とある会社の事例だ。ある日突然、役人が会社に押し寄せ「通信ログを全て出せ!ログが無い
場合は会社のインターネットを全面的に切断するぞ!」と言った。会社のシステム担当者は戦々
恐々というところだったが、幸いにもインターネット接続の通信ログは取得しており、ログの
バックアップも取得していたためデータを渡して事なきを得た。
この事例は、「インターネット安全保護技術措置規定(公安部 第82号令)」という法令に関
わるものだ。この中で以下のように定めている。
中国では、特に反政府的な内容を掲示板やSNSに書き込むと、何もなかったかのように削除さ
れることがある。またインターネット上への書き込みに関連して、何らかの事件性がある場合、
ログを調査して書き込んだ者を見つけて逮捕に至るケースもある。インターネット利用者もその
リスクを把握しており、自宅から書き込みをすると問題になる可能性があるため、あえて会社
から書き込みをする人も見受けられる。そのような時にも事件を解決できるよう、企業に対して
通信ログの取得を義務付けていると考えられる。
■不明確な点もある中国の法令
パソコンやインターネットの利用増加に伴い、中国にもITに関わる様々な法令が増えてきた。
日本の個人情報保護法のようなものが制定されていないなど未整備の部分は残るものの、今回
紹介した「公安部 第82号令」など他国にはない独自の法令が存在する。
ただ、残念なことに法令の中には内容や基準が曖昧なものがある。例えば「商用暗号管理条例」
は、暗号技術製品を中国国内で販売する時には当局に登録が必要であり、その製品の利用者も
都度当局へ報告しなければならないという法令だ。実はこの「暗号技術製品」が何を指すのか
という点が明確ではない。「暗号機能を中核としない製品は対象外」としているようだが、具
体的にはどのような製品が対象外となるかが明確になっていない。
少なくともハードディスクの暗号化ソフトなどは利用時には登録が必要であり、認可されてい
ない暗号化ツールを使っていたパソコンを空港で没収されたという事例も聞く。
>>2へ続きます
日経ITPro 2011/05/12
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