11/05/10 17:47:39.05
中央電視台(中国中央テレビ、CCTV)はこのほど、人気番組「経済半小時」で、輸送に
かんして行政が設けた規制が流通コストを押し上げており、食品における出荷価格の極端な
安さと小売価格の高騰という、異常な価格体系の原因になっていると紹介した。中国新聞社は
10日付で、同番組の主要内容を報じた。2010年における中国における物流コストの累計は、
国内総生産の約18%に達したという。
北京市内で1キログラム当り2元(約248円)で小売りされていたズッキーニの、生産地である
山東省である出荷価格は0.1元(約1.24円)だったという。その他の農産物でも、生産者
価格は異常に低く、小売価格が10倍あるいはそれ以上になっている例は、珍しくない。
問題は、何段階も卸売市場を経由しないと、農産品が小売市場までとどかないからだ。そして、
流通過程が複雑になる大きな原因が、行政による運送用自動車の規制だ。
中国では自動車ごとに、通行が可能な地域の制限がある。一般に、農村部や中小都市で通行が
可能なトラックなどは、大都市市街地への進入を認められないことが多い。
そのため、産地から輸送してきたトラックの積荷を大都市周辺にある卸売市場で取り扱い業者
に売り、大都市内に進入できるワゴン車に積み替えて輸送している場合がある。小売価格を押
し上げている大きな要因は市街地に入るまでの「最後の1キロメートル」という。
このため、大都市ではトラックの市街地進入許可証が業者にとって「入手困難な貴重な財産」
になっている。北京市内中心部に乗り入れる許可証を持っているという運転手によると、「許
可証はあるが時間制限がある。午前7時から9時までと午後4時から8時までは認められない。
時間制限に違反すれば罰金なので、とにかく1分1秒を争うことになる」という。
違反しないよう努力しても、渋滞に巻き込まれて結局は罰金を取られる場合もある。かなりの
出費だが、結局は小売価格に上乗せされることになる。
上海市も事情は同様で、物流会社に所属しているトラックも、市街地への乗り入れ許可証を得
ることが難しい。そのため、ワゴン車で農産物を輸送している業者が多数いる。規則違反なの
で、後部座席を取り外すだけでなく、外から車内の様子が見えないように改造しているという。
小さな自動車に積み替えて運送するため、燃料費や有料道路の通行料、人件費などで輸送コスト
は跳ね上がることになる。
一方で、規制する当局と、規制をかいくぐろうとするヤミ運送業者の「いたちごっこ」が続い
ている。北京市に運び込まれる貨物は毎年2億トン程度に達しているが、北京交通大学の張暁東
教授によると、50%-70%、多く見積もった場合には80%が、何らかの違法手段を利用して輸送
された考えられる。
大都市の当局が大型トラックの市街地進入を規制するのは渋滞や排気ガス問題の緩和だが、実際
には小型の自動車に分散して輸送しているので、問題はかえって悪化しているという。
北京物資学院の鄒暁美教授は、香港や東京では物流のためのトラックに都市侵入の規制はなく、
トラック輸送は生活必需品を輸送するための公共輸送とみなされていると指摘。複数企業が共
同配送システムを樹立していることが、交通渋滞の緩和にも役立っていると紹介した。
(編集担当:如月隼人)
サーチナ 2011/05/10
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