11/04/11 10:35:22.62
先月、東日本の広い範囲を大地震が襲いました。地震が多い日本では、鎌倉時代に
書かれた随筆『方丈記』にもその記述が出てきます。様々な天災を体験した著者の
鴨長明は「恐れのなかに恐るべかりけるは、ただ地震なりけり」と表現しています。
今回の震災の被害を目の当たりにして、国民は、日本が巨大な断層の上にある島国
だということを改めて認識したと思います。
さて、皆さんに関心をもってもらいたいことがあります。巨大地震と、地震に伴う津波
により、死者が2万人を超すかもしれないという推測が世界中に報道されました。
すると、横須賀基地や佐世保基地などから米軍が救援のため出動しました。韓国、
ニュージーランド、シンガポール、ドイツ、中国、ロシアなどの国も次々に支援を申し
出て、救援チームや物資を日本に送りました。
これら、日本に支援を申し出た国の中には、資源の奪い合いなどから日本とは険悪
な関係にある中国、ロシアも含まれていたのです。仮想敵国とさえ考えられていた
国々です。人命の大切さを第一に、複雑な国家関係を超越した平和的活動でした。
今回の件で私は、10年前に東京のJR新大久保駅で起きた人身事故を思い出し
ました。線路に転落した日本人男性を救うため、見ず知らずの、日本人カメラマンの
ほか韓国人留学生がレールに飛び降りましたが、間に合いませんでした。近づいて
きた列車により、全員が命を落とした痛ましい事故でした。救助に飛び降りた2人の
行動は犠牲愛の象徴だと思います。
異国人や見知らぬ人のために行った救済は、本当の「愛の行動」と言えましょう。
今回の震災で、こうした行動をできる国が多いことに感銘を受けました。
「愛の行動」の精神を発揮すれば今後、国際間のいかなる戦争をも放棄できる
はずです。そうすれば、「世界は一つ」という平和運動が展開されるものと信じます。
ここにこそ休戦ではなく非戦の時代がくるのではないでしょうか。第1次、第2次世界
大戦を経験した私は、その日が来ることを願っています。
ソース:朝日新聞
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