11/03/09 02:38:13.03 MaaUdl5a BE:475142827-2BP(3456)
>>381
これだね。
判例集にも大抵載ってる有名な事件。
石に泳ぐ魚事件
◆平成14年9月24日 最第3小法廷判決 平成13年(オ)第852号 損害賠償等請求事件
【要旨】
名誉等の侵害に基づく小説の出版等の差止めを認めたことが憲法21条1項に違反しないとさ
れた事例
本件は、上告人A(以下「上告人A」という。)が執筆した小説(「石に泳ぐ魚」)の発行等
によって名誉を毀損され、プライバシー及び名誉感情を侵害され たとする被上告人が、上告人
Aらに対して慰謝料の支払を求めるとともに、上告人A及び同小説の韓国版の出版についての
権限を有する上告人B(以下「上告人 B」という。)に対し、同小説の出版等の差止めを求め
るなどしている事案である。
人格的価値を侵害された者は、人格権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を
排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを 求めることができるもの
と解するのが相当である。どのような場合に侵害行為の差止めが認められるかは、侵害行為の
対象となった人物の社会的地位や侵害行為の性質に留意しつつ、予想される侵害行為によって
受ける被害者側の不利益と侵害行為を差し止めることによって受ける侵害者側の不利益とを比
較衡量して決すべきである。そして、侵害行為が明らかに予想され、その侵害行為によって被
害者が重大な損失を受けるおそれがあり、かつ、その回復を事後に図るのが不可能 ないし著し
く困難になると認められるときは侵害行為の差止めを肯認すべきである。
被上告人は、大学院生にすぎず公的立場にある者ではなく、また、本件小説において問題とさ
れている表現内容は、公共の利害に関する事項でもない。さら に、本件小説の出版等がされれ
ば、被上告人の精神的苦痛が倍加され、被上告人が平穏な日常生活や社会生活を送ることが困
難となるおそれがある。そして、本件小説を読む者が新たに加わるごとに、被上告人の精神的
苦痛が増加し、被上告人の平穏な日常生活が害される可能性も増大するもので、出版等による
公表を差 し止める必要性は極めて大きい。
以上によれば、被上告人の上告人ら及び新潮社に対する本件小説の出版等の差止め請求は肯認
されるべきである。
原審の確定した事実関係の下において、原審の上記各判断がいずれも憲法21条1項に違反す
るものでないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和41年(あ) 第2472号同44年6月2
5日大法廷判決・刑集23巻7号975頁、最高裁昭和56年(オ)第609号同61年6月
11日大法廷判決・民集40巻4号 872頁)の趣旨に照らして明らかである。所論のその余
の違憲の主張は、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものにすぎない。論旨は
いずれも 採用することができない。