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さる2月18日、中国経済の大激変を予感させる重要なニュースがあった。
中国人民銀行(中央銀行)はこの日、市中銀行から強制的にあずかる資金の比率を示す
預金準備率を0・5%引き上げると発表した。それは、市場にあふれた余剰資金を回収して
進行中のインフレを食い止めるための金融引き締め策の一環であるが、預金準備率の
引き上げは昨年来9回目で、前回の引き上げはわずか1カ月ほど前の1月20日のことであった。
しかも、その間の2月8日、中国政府はインフレ退治のためのもう一つの金融措置をとった。
政府の命を受け、中国人民銀行は金融機関の貸し出しと預金の基準金利を0・25%引き上げると決定した。
このようにして、今年に入ってから2カ月足らずの間、中国政府は得体の知れぬ恐怖に
追われているかのような慌ただしさで、集中豪雨式の金融引き締め策を次から次へと打ち出した。
彼らは本気で、迫ってくるインフレの大波におびえている様子である。
今の中国を襲ってきたインフレの大波はそもそも、過去30年間にわたる不健全な高度成長の負の遺産である。
この30年間、中国政府は高い成長率を無理しても維持していくために、貨幣の過剰供給をもって固定資産投資
の継続的拡大を図ってきたが、それが深刻な流動過剰を生み出してインフレ発生の土壌を用意した。
そして2009年、世界同時不況の中で急落の危機に立たされた中国経済を救うために政府が
行った史上最大の金融緩和=放漫融資はまた、流動性過剰に拍車をかける結果となった。
こうして、09年11月から、中国の消費者物価指数はうなぎ上りの傾向となった。
それは当時の0・6%から10年11月の5・1%に上がり、食品を中心に物価の大幅な上昇が見られた。
今年2月、政府当局は1月の消費者物価指数が「4・9%に止(とど)まった」と発表したが、実はそれは、
政府による情報操作の結果にすぎない。当局が1月の消費者物価指数を算出する際、
価格の上昇がもっとも激しかった食品の占める比率を意図的に引き下げたことで全体の数値を低めた。
姑息(こそく)な情報操作が行われたことは、逆にインフレ問題の深刻さとそれに対する政府の危機感の高まりを露呈した。
数億人単位の貧困層が存在し国民の不満が高まっている中で、本格的なインフレの発生=物価の暴騰は直ちに
社会的大混乱の発生につながりかねない。北京はまさに、それを恐れているのである。
そして、折からの中東革命の発生はまた、北京の抱く恐怖感を増幅させた。
中国と中東諸国が共通して抱えている貧富の格差の拡大や腐敗の蔓延(まんえん)などの社会問題に加えて、
インフレ率の大幅な上昇もまた、中東諸国の革命を引き起こす一因となったからだ。
まさにこのような背景下で、中国政府は冒頭に記した一連の金融引き締め策に踏み切ったわけだが、それは結果的に、
中国経済の高度成長の終焉(しゅうえん)を告げるターニングポイントとなる可能性が大きい。
インフレ率の上昇はこれからも続くだろうと予想されるから、中国政府は今後も、よりいっそうの金融引き締め策を断行していくしかない。
が、インフレの襲来とともに史上最大の不動産バブルが膨らんできている中、本格的な金融引き締め政策の実施は
いや応なくバブルの崩壊を引き起こして経済の急落と低迷をもたらすこととなるに違いない。
中国経済の「終わりの始まり」は、すでに始まっているわけである。
◇
【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。
民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
ソース:MSN産経ニュース 2011.3.3 10:24 インフレの大波襲う中国経済 「終わりの始まり」
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