11/02/25 20:36:14.00
◆韓流ブームの効果
◇芸能介し交流広がる 在日社会「自分たちが担い手」
◇無理解、今なお根強く
昨年のクリスマスに、思わぬプレゼントが私たちのもとに届いた。韓国のヒットTVドラマ「19歳の純情」で主演を務め、韓日に
根強いファンがいる韓流俳優ソ・ジソクさんが、「韓日の青少年交流に役立ててほしい」と大阪で開催されたソロライブの出演料を
私たちのNPOに寄託してくれた。
せっかくの好意を生かそうと私たちは、「韓日・日韓辞典」220冊を購入し、韓国語の授業が開設されている大阪府内の公立
高校53校と、府立・大阪市立のそれぞれの中央図書館に辞典をプレゼントした。思いもしなかった韓流効果にとても喜んだ。
「冬のソナタ」で一躍日本でも大スターとなったぺ・ヨンジュンさんやチェ・ジウさんをはじめ、いまや東方神起、少女時代、KARA
など、韓流スターたちの日本での活躍ぶりは目を見張るものがあり、国境を越えてその勢いはとどまるところを知らない。
韓流ブームが在日コリアンの社会にもたらす効果について問われることがある。韓流ブームで日本における韓国のイメージは
飛躍的によくなり、出自を語りやすくなったと感じているコリアンは少なくない。韓流スターに熱中するファンに在日も多く、芸能文化を
介した共感や交流も広がってきたといえる。
一方、在日コリアンを取り巻く日本社会の無理解や無知が韓流によって乗り越えられたかと言えば、そうとも言いづらい。
在日コリアンの心を傷つける発言や落書きが年に何度も確認される。韓流ブームが、在日コリアンを取り巻く社会環境の改善に
単純に結びついているわけではない。
2002年のサッカー・ワールドカップ日韓共催を契機に、韓国による日本の大衆文化の国内開放とのセットで韓流ブームが日本で
巻き起こった。大衆レベルの交流にさえ政府の後押しが必要であったほど、互いに負担感を抱えていたことを物語る。
一方、韓流ブームの背景にある在日コリアンの役割を忘れてほしくない。前述したソ・ジソクさんのライブは在日の演劇家、金智石
(キムジソク)さんが主宰する企画会社KJ-netが主催した。韓流が在日の頭の上を飛び越えていくのをただ座視するのではなく、
在日こそが流行の担い手なのだと韓流スターの日本進出を支える。
ソ・ジソクさんの寄付も彼らが仲介役となってくれた。韓流スターから在日の手へ、そしてそこから韓日交流の現場へ。一番やりがい
を感じているのはKJ-netのスタッフたちだろう。韓流を支える在日コリアンの役割にも注目してほしい。<文と写真、金光敏>
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■人物略歴
1971年、大阪市生野区生まれ。在日コリアン3世。大阪市立中学校の民族学級講師などを経て、現在、特定非営利活動
法人・コリアNGOセンター事務局長。教育コーディネーターとして外国人児童生徒の支援などに携わる。
ソース(毎日新聞) URLリンク(mainichi.jp)