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北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記の長男正男(ジョンナム)氏(39)は滞在先の中国南部の都市で、本紙との単独
インタビューに応じた。金総書記の後継者となった異母弟の三男正恩(ジョンウン)氏への期待として、住民の生活向上や延坪島
(ヨンピョンド)砲撃で緊張する韓国との和解を求めた。焦点となっているウラン濃縮などを含む核開発問題については「(北朝鮮の)
国力は核から生まれており、米国との対決状況がある限り、放棄する可能性は低い」との見方を明らかにした。
インタビューは今月中旬、約一時間半にわたって行われた。正男氏は北朝鮮国民の生活実態について「消息を聞くと心が痛い。
生活が向上しているとは思えない。北朝鮮が安定し、経済回復を成し遂げ、豊かに暮らせるよう願う」と述べた。「弟に対する私の
純粋な願いだ。弟に挑戦しようとか批判する意味ではない」と説明した。
昨年九月に決定した三代世襲については「中国の毛沢東主席でさえ世襲はなかった。社会主義に合わず、父も反対だった」
と舞台裏を明らかにした。一方で「(後継は)国家体制安定のためだったと理解している。北朝鮮の不安定は、周辺の不安定に
つながる」とも述べた。
昨年十一月の北朝鮮による韓国砲撃の背後事情については「交戦地域のイメージを強調し、核保有や軍事優先政治に
正当性を持たせようとしている人がいる」と、権力中枢で軍が台頭していることを示唆した。
日本人拉致事件では「遺憾な問題。今のように議論が平行線では解決は難しい」と述べ、日朝間の対話再開が必要との認識
を示した。拉致被害者とは会ったことはないが、最近拉致被害者に関する情報管理が厳しくなったという。
二〇〇一年五月一日、偽造パスポートを使って成田空港から入国しようとして入国管理局に身柄を拘束され、その後不法入国
として強制退去処分となった。当時の対応について正男氏は「日本政府はああするしかなかった。(当時、通訳などに当たった日本
の中央省庁担当者の実名を挙げ)むしろ最大限に配慮してもらった。あの事件で私の人生が変わったとは思わない」と理解を示した。
実名を挙げられた一人は本紙に同氏を担当したことを認めた。
強制退去をめぐっては正男氏本人かどうかの論議があったが、安倍晋三首相(当時)は〇六年十月の衆院予算委で「金正男氏
である蓋然(がいぜん)性が極めて高いと(の判断に)至った」と、本人だったとの認識を明らかにした。
ソース(東京新聞) URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
写真=本紙とのインタビューに答える金正男氏
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)