11/01/23 10:24:58
長さ500メートル、幅1ミリのテープを手作業でカット
韓国人の職人芸にほれたシーメンス本社、超音波製品の70％を韓国で
先月3日、慶尚北道浦項市に位置するテクノセンター内にある韓国シーメンス・メディカル超音波事業部の
第2工場を訪れた。真っ白な色の「クリーンルーム」内では約60人の生産担当職員が顕微鏡をのぞき、作業に
没頭していた。同工場では、高価な超音波医療機器である「アキュナブ」を生産し、全世界に輸出している。
同装置は、細い管状の器具を患者の心臓の内部にまで挿入し、心臓の模様と血流の方向を超音波で観察
することができる製品だ。使い捨ての装置だが、値段は約280万ウォン（約20万円）にも上る。
10年前まで同製品は、すべて米国のシーメンス工場で生産されていた。2003年に米国のシーメンス超音波
事業部の本社が、アキュナブに使用されるチューブを試験的に韓国で作ることを指示した。その5年後には、
30段階に及ぶアキュナブの生産工程をすべて韓国工場に持ち込むことになった。もともと同製品を生産していた
米カリフォルニア州マウンテンビューにある二つの工場は、現在すべて閉鎖されている。浦項工場を統括している
韓国シーメンスのキム・グンス取締役は「品質と実力でシーメンス本社を説得した」と話す。
韓国シーメンスの実力の秘訣（ひけつ）は、「箸文化」によって磨き上げられた優秀な手作業にある。超音波
機器の生産作業は、すべてが手作業で行われている。浦項工場の関係者は「まるでブランド製品の工場のように
20－30人の職人が生産工程を30段階に分けて作業している」と説明する。韓国人の場合、長さ500メートル、
幅1ミリのテープを顕微鏡を使って誤差もなく真っすぐに切っていく練習を3カ月間も続けることで、初めてパスできる。
まさに「地獄の特訓」なのだ。
キム取締役は「同工場の職員の優れた技術力には、シーメンスの本社も驚いている。シーメンスが中国などの
低賃金生産基地ではなく、韓国に大型投資する理由がここにある」と、自信の程をうかがわせた。
シーメンスの浦項工場で作られている製品は、何もアキュナブだけではない。同工場では、超音波機器の中核を
担うトランスデューサーなど約30個の製品や部品が生産されている。トランスデューサーとは、患者の皮膚に直接
触れる野球ボールぐらいの大きさの部品だ。浦項工場の関係者は、「実に小さい部品だが、値段は1個で3000万
ウォン（約220万円）から数億ウォン（1億ウォン＝約732万円）に上る。超音波機器の値段の30％を占める中核
部品なので、製作は簡単ではないが、100％韓国で製造している」と誇らしげに語った。
韓国は、シーメンスの超音波製品全体の70％を請け負っている。韓国で生産された製品は、アジアはもちろんの
こと、米国や欧州にまで輸出されている。これについて、シーメンスの関係者は「韓国には、優秀な人材がそろって
いるほか、大学との産学連携プログラムなど研究開発（R＆D）分野の条件がよく整備されていて、医療機器の
生産基地としてはうってつけ」と話した。
浦項＝キム・ヒョンジン記者
朝鮮日報／朝鮮日報日本語版
2011/01/23 09:17:54
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