10/12/31 17:22:04
(続き)
■徐々に判明する事実
呼び寄せた姉妹によると、姉妹の母親は大正15年、華僑の夫と福建省に渡ったが、そのまま太平洋戦争の混乱で帰国
できなかったという。
厚労省によると、こうした日本人の場合、旧ソ連軍の侵攻で中国東北部に取り残された場合でなくても、「中国残留邦人」
として支援対象になる可能性はある。
一方で、残留邦人の親族を偽装した不法入国も相次いでおり、その見極めは非常に難しいとされる。
中国人48人が在留資格申請時に、大阪入国管理局に届け出た「身元保証人」は同郷の中国人2人だけだった。「親族でも
ない2人が48人も扶養するなどあり得ない」。大阪市は大阪入管の審査を「甘いのでは」と疑問視した。
しかし、入管難民法で定める身元保証人は、民法上の保証人と違い、債務保証義務はなく、扶養しなくても罰則はない。
入国後の生活基盤を調べる入管の審査は、実は形骸化しているのだ。
大阪入管は今回申請のあった中国人から、来日後の雇用予定先などを記した書類の提出も受けていた。
しかし、入管では従来、実際に雇用実態があるかどうか確かめるため、わざわざ雇用予定先の事業所まで出向くことはない。
ところが今回は一転、大阪市からの厳しい指摘を受けて、雇用実態などの再調査に乗り出した。
これには、中国人48人の申請を支援した弁護士も「これまで審査は形式的だったのに…」と思わず不満を漏らした。
生活保護法によると、申請から30日以内に生活保護費の支給の是非を決定しなければならない。
しかし大阪市は今回、この規定にはこだわらず、支給決定の期限を1週間、延ばす方針を表明した。
異例の対応で、法的な問題が生じる恐れもあるとされたが、大阪市の担当者は「(大量の中国人が入国する際に)無責任な
法律の運用をしている」と、怒りの矛先を入管など国側の対応に向けた。
■突然の辞退…
「申請者から辞退の申し出がありました」
7月中旬、生活保護を大量申請していた中国人48人のうち、12人が突然、申請を取り下げたことが判明した。
その理由は「仕事が決まったから」。それまでは「入国直後で、なかなか仕事も決まらない」と訴えていたのに、突然の
集団辞退。その後も9月中旬までに辞退が相次ぎ、最終的には48人全員が申請辞退となった。
真相は闇の中だが、大阪市や入管の厳しい調査が進む中、申請した中国人側の対応も状況の変化に機敏だったことは確かだ。
ただし、これで問題が解決した訳ではない。
今回大量申請した中国人48人の中には、中国残留邦人の2世や3世とみられる親族も含まれていたとされる。
中国残留邦人の帰国は近年急増しているとの情報もあるため、親族の入国実態を管轄の厚生労働省に問い合わせてみた。
すると厚労省の回答は「呼び寄せた数までは把握していない」。あるのは中国残留邦人の帰国数などで、呼び寄せた親族の
実態は謎に包まれたままだ。
12月に入ってからも、最初の48人とは別の残留邦人の親族で、昨年6月に来日した中国人13人が入国直後に生活保護を
大量申請していたことが新たに判明。入国時の身元保証人は48人と同じ福建省出身の在日中国人で、これまでに支給された
生活保護の総額は千数百万円に上るとみられる。
大阪市は生活保護目的で入国した可能性があるとみて、支給停止と返還請求も検討し始めた。中国人による生活保護の大量
申請問題は、今後も波紋を広げそうだ。