10/12/23 20:23:25
★【正論】筑波大学大学院教授・古田博司 ある「地球市民権力者」の専横
◆「日本国民」と自己規定せず
わが日本国の驚くべき官房長官について語ろうと思う。この人物はホームページで自らを日本国民ではなく、
「地球市民」と規定している。では、この「地球市民」は尖閣諸島沖の中国漁船事件で一体、何を守ろうとしたのか。
少なくとも、われわれの住む日本国という実体ではない。地球市民が住む「平和社会」という幻想を守ろうとしたのである。
9月7日、国防動員法が施行され国家総動員体制下にある中国から、一隻の「民兵船」がやってきた。
わが国の領海を侵す第一歩として、海上保安庁の巡視船に体当たり攻撃をしかけ、船長以下は拘束された。
正式に逮捕するには令状が必要になる。そこで令状を請求してよいですかと、菅直人民主党官邸にお伺いを立てた。
海上保安部編集のビデオ映像を見た前原誠司国土交通相(当時、現外相)は、逮捕を主張した。
仙谷由人官房長官は内心では反対ながら、本気で反対しなかった。
船長を逮捕して裁判にかければ、公判維持のため、ビデオは非公開とせざるを得ない。
ビデオを隠匿し、「平和社会」を守れる。とにかく、映像を民衆に見せてはならない。それは民主主義に優先する。
官邸からゴーサインが出て令状が請求され、翌日、船長は逮捕された。
13日午後には船長以外14人を釈放し、中国機で送還してあげた。仙谷氏はこれで別の状況が開けると思った。
しかし事態は氏の予期せぬ方向へと進む。同じ「平和社会」の隣人のはずの中国が、
19日に船長の即時無条件釈放を要求し、報復措置として日中の閣僚級交流を停止した。
22日には、日本向けレアアース(希土類)の輸出全面差し止めに踏み切ったことが報じられた。
23日には、建設会社フジタの社員4人が拘束されたことが判明する。平和主義者はあわてた。
ゆえに、「中国に分かってもらえるはずだと思っていた」と、後に語ったのである。
◆ビデオ非公開は長官の意思
仙谷氏の朋友、松本健一内閣参与が最近、テレビニュースで語ったように、
ビデオ秘匿と外務省無視は当初から仙谷氏の意思であった。かくして仙谷氏の“独断外交”が始まる。
氏は朋友、中国コンサルタントの篠原令氏を通じ、程永華駐日中国大使と事前調整を始めた。
ある外務省幹部の言が残されている。「日中関係が緊迫したときに首相官邸が日本の外交官を信用せず、
中国外務省に相談したことに衝撃を受けた」という。
23日には前原外相が、クリントン米国務長官とニューヨークで初めて会談し、
長官は、尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象になるとの見解を表明した。
24日には那覇地検が、処分保留で中国漁船長を釈放する。不起訴処分は検察の判断で然(しか)るべきだが、
この判断に仙谷氏の政治介入があり、同氏が在日中国大使館に釈放を事前通報していたというのが、
12月6日付毎日新聞のスクープである。仙谷氏は否定したが、25日未明の石垣空港には釈放された船長を
中国機が出迎えに来ていた。スクープ当日には、テレビで先の篠原氏が
「船長を釈放しなければ中国軍が尖閣に上陸し、戦争になっていた」と擁護した。
(>>2以降に続く)
ソース 産経新聞 2010.12.23 02:54
URLリンク(sankei.jp.msn.com)