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木語:外交力で「大使は不在」=金子秀敏
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ノーベル平和賞の授賞式を取材した本紙、大谷麻由美記者が「中国政府の振る舞いはダサかった」
と怒っている。あの平和賞ボイコット外交のことである。反政府活動家、劉暁波氏に平和賞が贈られるとあって、
中国政府が授賞式に出席しないよう圧力をかけ、17カ国が欠席した。(20日朝刊「Fromノルウェー」)
どの新聞も、大谷記者と同様、中国は横暴だと非難していたように思う。例外はバンコク在住のジャーナリスト、
鈴木真氏である(15日産経新聞朝刊)。中国のボイコット外交を「東南アジア」という物さしで測っている。
するとなにが見えるだろうか。
鈴木氏は言う--東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国のうち、平和賞授賞式に参加したことが
確認できたのはタイ1国だけ。そのタイも大使は「本国に帰国中」で公使が出た。
インドネシアの大使も「本国に帰国中」で欠席。フィリピンは大使の「日程が合わず」欠席したという。
中国と南シナ海で主権紛争のあるベトナムは「政治目的に利用すべきではない」と劉氏への授賞を批判した。
だから、日本とASEANが手を結び、中国と対抗すべきだというような議論は空論である--。
ダサかろうがどうだろうが中国はボイコット外交でこれだけのポイントを挙げた。これがアジアの現実である。
では、なぜ中国はこれほどの外交力を持っているのか。今年の1月1日、中国とASEANの自由貿易協定(FTA)
が発効したからだろう。中国と東南アジアが一つのマーケットになり、物流が急増して、東南アジアの景気が良くなった。
経済的に接近すれば政治的関係も対立を避けるようになる。フィリピンではマスコミが大使欠席を批判したが、
政界からは「中国を怒らせて得はない」という本音が漏れている。
授賞式の直前、フィリピン軍首脳が訪中して中国製武器の買い付け交渉をしている。
中国の脅威より国内の反政府ゲリラのほうが怖いのだ。
中国ASEANのFTAに対抗して、米国が推進しているのが環太平洋パートナーシップ協定(TPP)である。
アジア市場で巻き返しを狙っているが、出遅れた。
中国が着々と軍事的プレゼンスを高めている南シナ海では、米国はASEANと中国の脅威に対抗する
枠組みを作ろうとしている。しかし、ASEANは簡単に乗らない。中国のノーベル平和賞授賞式ボイコット外交は、
確かにダサい。しかしダサいほどがむしゃらな外交力は侮れない。(専門編集委員)
毎日新聞 2010年12月23日 東京朝刊
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