10/12/21 22:48:23
【広州(中国)】
中国で事業展開する世界の大手自動車メーカーは、新興中間層の手に届く自動車の需要が急増していることを受け、低価格車の中国専用ブランドの立ち上げを急いでおり、昔の設計図を
引っ張り出して開発を進めている。
こうした変化は20日に開幕した第8回広州モーターショーに顕著に表れている。海外メーカーやその中国の合弁企業は、都市部ほど開発が進んでいない内陸部で増えている中間層を
取り込む動きを見せている。内陸部の中間層の多くの年収は5万元(約63万円)を超えており、自動車メーカー幹部はこの水準が自動車を持つかどうかの境界線になると考えている。
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ホンダの「理念」(20日、広州モーターショーで)
ホンダは20日、中国専用ブランド「理念(英語ではEverus)」の初の小型セダンを公開した。同社ならびに同社と提携する広州汽車集団は、2011 年に発売予定であることを明らかにした。
また日産と中国の自動車メーカー「東風汽車」の合弁企業「東風日産」も、中国専用ブランド「啓辰(英 Venucia)」を設立し、小型コンセプトカーを公開した。こちらは12年の発売予定だ。
一方、米ゼネラル・モーターズ(GM)の広報担当者は同モーターショーで、同社のほか、中国・上海汽車集団(SAIC)、それに中国・五菱汽車と の合弁事業が中国専用ブランド
「宝駿」向けの工場建設を決めたことを明らかにした。同ブランドの初の乗用車の製造は11月に、同国南部・広西省の工場で始まった。同工場の現在の年間生産能力は10万台を超える。
新工場は同省内に設けられ、年間生産能力は40万台、稼働開始は12年末になる見通しだ。
ただ、同モーターショーでは、どの自動車メーカーも価格を明らかにしていない。
低価格車の需要急増は、多くの海外自動車メーカーにとって驚きだった。それに対応するため、GMやホンダなどの自動車メーカーは、中国の合弁企業に最近使わなくなった
自動車の設計や技術を使わせている。GMのケースだと、GMは五菱に対し、小型車製造のためにGMが長年かけて開発してきた既存の「設計要素」の利用を認めている。
この要素の一部は現在使われていない。
市場調査会社のJDパワー・アンド・アソシエーツによると、ホンダと広州汽車は「理念」の初の準小型セダンにホンダ「シティ」の前の型のプラットフォームを用いており、
日産は「ティーダ」の基盤技術で使われなくなるものを「啓辰」の初モデルの開発に使用する予定だという。
自動車メーカーはこのような取り組みを通じて開発費を下げ、吉利汽車、奇瑞汽車といった中国国内メーカーのライバル車と対抗できる価格を実現したいと考えている。
中国国内メーカーは低価格車を専門に扱っており、小型車の価格は5万~9万元、商用マイクロバンは3万~5万元に抑えられている。
しかし、海外の自動車メーカーが中国専用車やブランドを創設する動きによって、大部分が国有で提携先でもある資金の豊富な中国のライバルが力をつけるという逆効果が生じる
可能性があると指摘する専門家もいる。これに対し、広汽本田汽車の金山裕則総経理は同モーターショーで、そうした結果になるとの懸念は抱いていないと述べ、
「われわれの生き残りの絶対的なカギとなるのは、常に革新し、技術面で数歩先を行くことだ」と語った。
ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版(12/21 14:26)
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