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「韓流」は、すでに1つのジャンルとして日本市場で確固たる存在感を示しているが、今、「KARA」「少女時代」など韓国のガールズ
グループが韓流に新風を吹き込んでいる。「冬のソナタ」に代表される韓国ドラマの隆盛を第1次ブームと呼ぶならば、現状は第2次
ブームと呼べるだろう。
『日本人の知らない韓流スターの真実』(シン・ミンソプ、菅野 朋子・著、文藝春秋)には、韓国芸能界の輝かしい光の陰にある
実像が、タブロイド紙の記者によって記されている。著者は、現在のK-POPアイドル全盛時代の到来を、芸能事務所が自ら
アイドルグループのインキュベーションシステムを確立し、「スター育成のために惜しみなく投資した結果」と説明する。しかし一方で、
このシステムを維持するために必要な事務所との長期専属契約の問題が、人気グループ「東方神起」を活動停止・分裂に
追い込むなど、限界も露呈し始めているようだ。
韓流を「時代思想の交換」という観点からとらえ、「日本のポストモダンへの対案」とする『ハイブリッド化する日韓』(小倉紀蔵・著、
NTT出版)の分析も興味深い。本書では、韓流がアジアを席巻し、その人気は欧米にまで広がりつつある要因を、韓流作品の持つ
「時代思想のビビンバ性」(モダン性とプレモダン性の混在)に求める。韓流はその多面性ゆえに、多様な市場での競争力を有して
いるという説には、うなずけるものがある。
一方、日本の芸能界は、海外進出では韓国の後塵を拝していると言わざるをえない。グローバル化が否応なしに進行するなか、
今後、海外進出は避けて通ることのできない道となるだろう。
では、日本の競争力の源泉はどこにあるのか。『ガラパゴス化のススメ』(櫻井孝昌・著、講談社)では、「現状、地球レベルで
考えたときの日本の最大の武器は、『アニメ+ファッション=カワイイ』とでもいうべき、日本ポップカルチャーだ」という持論が展開される。
カワイイ文化が国境を越えて熱狂的な支持を得ているのは、それが「日本にしかできないオリジナルなもの」だからである。少なくとも
エンターテイメント分野においては、“ガラパゴス化”を推し進めることが、海外展開のブレークスルーにつながるかもしれない。
ソース(週刊ダイヤモンド 12/11号 103ページ、エンターテインメント・アナリスト 笹井裕子氏)