10/12/05 08:20:18
無償化先送り―砲撃は理由にならない
北朝鮮が、平和を脅かす行動に出ている。韓国領の島への砲撃の後も、自分勝手な主張を繰り返している。
砲撃事件を受けて、朝鮮高級学校生の授業料無償化に向けた手続きを停止するよう、
菅直人首相が指示した。10校から出されている申請の審査が、先送りされている。
民主党政権は、子どもの学びの支援に外交、政治上の問題はからめないと確かめたはずだ。
「平和という前提が崩れた」との理由でその考えを変えるのは、筋違いではないか。
北朝鮮の行動は非難に値する。危険な挑発を繰り返し、拉致問題にも誠実に対応しない国家だ。
だがどう考えても、朝鮮学校の生徒にはその責任はない。彼らは日本で生まれ育ち、
ともに社会を支えてゆく人たちである。支援の対象は学校ではなく、生徒一人一人だということも忘れてはならない。
朝鮮学校出身の若者はこんなことを言っていた。「オレには朝鮮は親のようなもの。
親が悪いことしたからって縁が切れるわけじゃない。嫌いだからって捨てられない」。
彼らとて「親」のふるまいをどうにもできず、悶々(もんもん)としているのにちがいない。
朝鮮学校については、教室の肖像画や教科書の記述が批判されている。問題はそれにどう対処するかだ。
文部科学省は無償化適用に際し、財務の透明化などを基準に審査することを決めている。
個々の教育内容については判断材料とせず、「自主的改善」を促すことにとどめた。
政治や行政が教育内容へ直接介入することを避ける原則は、大切にしなければならない。
すでに決めた基準にしたがって、審査を進めるべきだ。
そのうえで朝鮮学校にも求めたい。無償化を機に日本社会の疑念の声を受け止め、
自分たちで教育のあり方を議論し、正すべきは正してほしい。
在日の先達には、差別に囲まれながら、祖国をよりどころに生きてきた思いはあろう。
だが3世、4世ともなれば、祖国とのかかわり方はおのずと変わる。
世界で全く通用しない北朝鮮の主張や価値観、指導者への個人崇拝をそのまま持ち込むようなやり方が、
若い世代にとって有益だろうか。
日本と朝鮮半島の懸け橋になりうる国際人として、必要な視点や知識は何か。
朝鮮学校で使う教科書の改訂時期だという。そんな視点も加えつつ、改訂での議論をしてほしい。
砲撃以来、各地の朝鮮学校には嫌がらせの電話がかかっているという。
同時多発テロの後には、世界各地でイスラム教徒への監視や加害が強まった。
紛争の際、矛先が真っ先に向けられるのは少数派の移民たちだ。
政府がすべきことは、北朝鮮を変えるための国際的な連携を組みつつ、在日の子どもも同時に守ることだ。
朝日新聞 2010年12月5日(日)付
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※依頼ありました(依頼スレ133、>>532)
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