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尖閣諸島周辺で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件。「国家的な問題」を抱えた地元石垣市内では、
違法操業をする中国漁船への批判や事件対応への不満が噴出した一方で、対中感情の悪化を懸念する一般市民
は別の顔を見せた。古くから中国(台湾)の移民を受け入れ、島で共に暮らしてきた市民から「国と国の問題を、人
間と人間の問題にしてはいけない」との声が聞かれた。(平島夏実)
「字登野城」として尖閣諸島を抱える石垣市。中国漁船船長が逮捕された9月上旬以降、同市には県内外から報
道陣が続々と駆け付けた。尖閣ビデオが流出し事件の表舞台が神戸市へ移った後も、自民党の調査団が到着。
「体を張った日々の国境警備」をたたえ、石垣海上保安部に感謝状を手渡す人物も現れた。問題の真相究明を求
める声が石垣島内での行動にあらわれた格好だ。
だが、市内には事態を静観する人々もいた。
中国人へ気遣い
「島にいられなくなるかもしれない」
同市で30年近く暮らしてきた50代の中国人女性は、対中感情の悪化を肌で感じた。狭い島で、自身が中国大陸
出身者であることは有名。「ご近所さん」との関係が冷え込めば、経営する飲食店をたたむしかない。
だが今、女性は以前と同じ笑顔で店に立つ。「お客さんが『お店は大丈夫?』と気遣ってくれて…。だんだん気が楽
になった」
雇っている中国人従業員に幼い息子がいることを知っていた50代の日本人女性は、男児が通う学校に配慮をお
願いしたと明かす。男児が日本語を満足に話せないことも気がかりだった。
「自分だったら、子どもに肩身の狭い思いをさせたくない。国と国の問題を、人間と人間の問題にしてはいけないと思う」
「本国」へ注文も
石垣市によると、市の人口4万8624人(9月末現在)のうち、外国人登録者は36カ国268人。うち50人が台湾を含
む中国籍で、フィリピン籍に次ぐ多さ。日本国籍を取得したため、統計に含まれない中国系の人たちは少なくない。
「今までに違法操業で拿捕(だほ)された台湾人船長は、何百万円も罰金を支払った上で釈放された。借金苦で再
起不能になっている台湾人もたくさんいる。日本政府が中国に対してだけ寛大になるなら納得できない」と訴えるの
は、台湾出身の60代自営業男性だ。
「ここに住む中国人を不安にさせたということは、中国本国の対応がそれだけまずかったということなんじゃないか」。
男性は、本国には海外で生活する自国民を思いやる責任があると指摘した。
ソース:沖縄タイムス
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