10/11/12 01:37:50
ソース(日本経済新聞、2010年11月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
URLリンク(www.nikkei.com)
写真=動画サイト「ユーチューブ」に投稿された、沖縄県・尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船「みずき」(右)に中国漁船が
衝突した様子を撮影したとみられる映像
URLリンク(www.nikkei.com)
動画投稿サイトの「ユーチューブ」で今、意外な大ヒットとなっているのが、小さな漁船を巡る40分あまりの動画だ。既に日本人と
中国人を中心に150万人を超える人々が、この海のドラマを閲覧した。スケートボードに乗るブルドッグを撮影した40秒ほどの動画
「Tyson the skateboarding dog」の閲覧者数に肉薄する勢いである。
■日中関係、2005年以降で最悪の状況
題材となっている中国籍のトロール漁船は、今年9月、日中関係を2005年以降で最悪の状況に追いやった事件の主役だ。
先週漏洩(ろうえい)したこの映像は、無人でありながらその領有権が激しく争われている尖閣諸島(中国名は釣魚島)の近海で、
中国の漁船が日本の海上保安庁の巡視船に体当たりをしている様子を示そうとしたものだ。
この映像が世に出たことで、日本が漁船船長を逮捕したことを巡る論争に再び火がついている。9月にはこの逮捕が日中の外交
問題に発展した。中国政府からの政治的圧力があまりに強かったため、日本の検察当局は船長を処分保留のまま釈放した。
検察当局はこの時、日中関係を考慮したと述べていた。
今回の映像流出は、日本側の主張を裏づけるために行われた模様だ。日本の施政下にある島の近海で船を意図的に衝突
させた以上、船長を逮捕しないわけにはいかなかった、という主張である。
中国側は、漁船が挑発的な行動を取ったことを一貫して否定しているが、中国では多くのネチズン(ネット市民)が、まさに
挑発的な行動を取ったことを評価して船長を英雄視している。
日本政府が譲歩して船長を釈放したことが明らかだったため、日本国内でも反発が巻き起こった。
■「ニクソン・ショック」上回る「尖閣ショック」
日本の主要紙で最もリベラルな朝日新聞の主筆、船橋洋一氏でさえ、苦渋に満ちた書簡の体裁を取った一文を発表し、
中国政府の行動を非難した。「もし、中国がこのような振る舞いを続けるのであれば、中国とは長い、長い闘争を続ける以外ない、
という覚悟を私たちは持つことになるでしょう」
普段は物腰が柔らかく、自らも中国語を話す船橋氏はこの文で、レアアース(希土類)の事実上の輸出禁止など中国政府が
取った報復措置に苦言を呈している。そして、「尖閣ショック」は日本にとって「ニクソン・ショック」よりはるかに大きな打撃になるだろう
と予言している。
なお、ここで言うニクソン・ショックは、リチャード・ニクソン大統領が1971年に日本政府に内緒で中国との関係を正常化させたこと
を指している。
あんな小さな岩の所有権がこれほどの大問題に発展するのは、一体なぜなのだろうか。確かに、戦略的に重要な問題がからんで
いる面はある。東シナ海のこの水域は魚介類が豊富で、海底には石油や天然ガスが豊富に埋まっている可能性もある。重要な
航路にも近い。
だが、この争いの核心を理解するためには、アジアではよくあることだが、そこに覆いかぶさっている歴史の層をいくらかはがさなくては
ならない。
(>>2以降に続きます)