10/11/08 17:43:55
日本固有の領土に、中国とロシアが大攻勢を仕掛けるなか、7日から横浜でAPEC(アジア太平洋経済協力
会議)が始まった。中国漁船衝突事件の映像流出で統治能力に疑問符が付き、支持率急落中の菅直人首相
は、したたかな中露を相手に毅然とした姿勢を貫けるのか。中露両国の政治・外交戦略に精通する大宅賞ジャー
ナリスト、加藤昭氏が中国による、驚愕すべき対日工作の全貌をすっぱ抜く。
中国は、9月の尖閣事件以降、外交部や国防部、公安部、中国科学技術院などの代表が集まって「対日工作
会議」を何度も招集している。これまで年2回程度の開催だったことを考えると、まさに異常事態というしかない。
私(加藤)は事件直後に続き、旧知の中国政府関係者を直撃した。
―会議の雰囲気はどうなのか
「以前も話したが、まさに『対日制裁会議』という雰囲気だ。人民解放軍の将軍などは10月の会議の冒頭、
中国の『水に落ちた犬は打て』ということわざを引用し、『参院選で大敗した菅民主党政権は完全に指導力を
失い、崩壊寸前の状態にある。(尖閣諸島を強奪する)絶好のチャンスだ。この機会を逃さず、徹底的に犬を撃つ
べきだ』と強硬に主張している」
人民解放軍は保守勢力の牙城であり、ある程度の対日強硬論は想定内だが、日本を「犬」呼ばわりするとは
驚くばかりだ。日中両国の「戦略的互恵関係」などは、まったくの絵空事というしかない。
―具体的な議題は何か
「民主党への工作活動だ。中連部(中国対外連絡部=他国への諜報・謀略工作の担当機関)代表から、
日本の政治現状について、『中国と友好関係にあった鳩山由紀夫前首相と小沢一郎元代表は事実上失脚した。
現在、民主党主流派には松下政経塾出身者が多い。彼らの大半は、親米・反中の立場を取る。非常にまずい
状況だ』という分析と、『早急に、松下政経塾出身者への懐柔工作を強化する』という提案が出された」
松下政経塾出身者といえば、対中強硬派の前原誠司外相を筆頭に、野田佳彦財務相や玄葉光一郎国家
戦略相、福山哲朗官房副長官などが、菅政権の中枢を占めている。謀略・策謀渦巻く「三国志」の国が、彼らを
ターゲットにしても不思議ではない。
中国による工作活動は、自民党時代にも行われていた。やはり、対中強硬派とされた安倍晋三政権の発足時
には、「安倍首相本人ではなく、塩崎恭久官房長官や山本一太参院議員らを狙え」という指令が下りていたという。
―工作活動の詳細は
「工作活動には、ハードパワー(=目に見える外交上の圧力や恫喝など)とソフトパワー(=懐柔や籠絡などの
謀略活動)の両面があるが、今回は、ソフトパワーが中心だろう。工作対象の経歴や家庭環境、職歴や人脈は
もとより、趣味や道楽、保有資産から女性の好みまで、洗いざらい調べ上げ、そのデータを活用して、工作対象を
わが陣営に引き込む。これらの総称をソフトパワー戦略と呼ぶ。ちなみに、菅首相のなら、学生時代から最近の
ものまで、未公表の知られざるデータが山ほどある」
≪1972年9月、田中角栄首相が日中国交回復のため、北京・釣魚台迎賓館に入った際、家族しか知ら
ない田中氏の好物だったアンパンが用意してあり、翌朝の朝食のみそ汁には、故郷・新潟のみそが使われていた。
『あなたのことは、すべて知っていますよ』という暗黙のメッセージ。情報入手も難しい当時の日中関係を踏まえれば、
中国外交の神髄を示す逸話といえる≫
>>2-5あたりに続く
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