10/11/06 11:08:43
アフリカ南部の資源国、ザンビア発の記事に思わず目が留まった。ある炭鉱で10月15日、中国企業で働く鉱山
労働者たちが待遇改善を求めてデモを行い、中国人幹部2人がデモ隊に銃を乱射、12人が重軽傷を負った-と
英字新聞は伝えていた。月給は70米ドル(約5700円)でザンビアでも最低レベルだったらしい。
「やっぱり起きたか」とまず思ったのは、今年初め、同国で取材をした経験からである。中国がアフリカの資源獲得に
猛進する実情を見てみようと、ザンビア、スーダン、アンゴラなどを回った。
いずこも中国のお決まりのやり方、つまり内政不干渉の原則の下で巨額支援を行い、その代わりに資源を優先的
に回してもらうというものだった。当然、援助を受けるアフリカ側には親中派が多いように思われがちだが、国民レベルは
必ずしもそうではなかった。
たとえば、銅や石炭の資源で知られるこのザンビア。進出する中国企業の評判は芳しくない。「ザンビア人労働者の
扱いがひどい。奴隷なみだ」とその理由を説明する野党指導者もいた。中国企業の元労働者に話を聞くと、「機械は
中国製ばかりで中国語の注意書きしかないのに、誰も説明してくれない」「ヘルメットやマスクは中国人労働者に
優先的に支給される」…。不満はたまっていた。
今回、記事で取り上げられた炭鉱の中国企業も、劣悪な労働環境からコレラが蔓延(まんえん)し、今年1月、
政府に一時閉鎖を命じられたほどの問題企業だった。
デモ隊を銃撃した2人の中国人は殺人未遂の罪で訴追されたというが、2人は「デモ隊に襲われてやむを得ず撃った」
と弁明しているらしい。かの地の反中感情を考えると、あながち誇張ではないような気もする。それでもザンビア人労働者
に向けて発砲するのは言語道断であり、中国のアフリカ経済進出が「新植民地主義」だと非難されても仕方がない
ところだ。
連載記事「巨竜むさぼる」ではアフリカのみならず、南米、アジア、旧ソ連地域の国々で、資源を求めてさまざまな
摩擦を引き起こしている中国の現状を紹介してきた。ところが最近の中国は、自国資源のレアアース(希土類)の
輸出規制をちらつかせて国際社会を揺さぶり、「ならず者経済大国」(ノーベル賞経済学者のクルーグマン氏)と批判
されている。
3日から始まった連載第6部では、中国の“ならず者ぶり”を報告している。
ソース(MSN産経ニュース、副編集長・藤本欣也氏)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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