10/11/06 10:13:51
政府の情報管理は一体どうなっているのか。
尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の状況を撮影したビデオとみられる映像がインターネットに流出した。
一部国会議員への開示を例外とし政府が非公開にしていた映像だ。
横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を目前に公安資料がネットに流れ問題となっている中で
起きただけに、国際的な信用失墜を招きかねない事態である。
前原誠司外相は記者会見で「恐らく海保が撮ったものだと思う」と述べた。厳重に保管されていた海保撮影の映像
がなぜ外部に漏れたのか。
菅直人首相はきのうの閣僚懇談会で「事態をしっかり調査し、原因を究明しなければならない」と述べた。当然である。
政府は流出ルートなどを徹底的に調査し、責任の所在を明らかにするべきだ。
問題の映像は6本で計約44分。国会議員に開示した約6分50秒の映像の6倍以上もの長さがある。
「ぶつけてくるぞ」「止まれ」-。海上保安官のものと思われる叫び声とともに、漁船が巡視船にぶつかる様子が
生々しく映っている。
衝突事件で船長が逮捕された漁船と同じ船名が、映像の船体にはっきり読み取れた。真実の映像であるなら
中国漁船側が巡視船に故意に船体をぶつけたことをうかがわせる。政府の説明を裏付けることにもなる。
まず突き止めなければならないのは、映像の出どころだ。
ビデオの映像は最高検や石垣海保の金庫などに納められていたというが、内部から流出したとみる指摘もある。
関係者が刑事責任を問われる可能性もあろう。早急に真相を究明してもらいたい。
問題は政府の情報管理のずさんさである。対中関係に配慮し政府として「非公開」と決めておきながら、唐突に
ネット上に映像が流れた。
一定の期間は非公開としても、本来は国民に開示すべき情報だ。いつ、どのように開示するのか、政府があいまいな
ままにしてきた結果が今回の事態を招いたとも言えよう。
不可解なのは流出の背景だ。
13日からのAPEC首脳会議に合わせ、菅首相と胡錦濤・中国国家主席との日中首脳会談が調整されている。
その直前のタイミングである。
映像はネットを通じて中国にも流れ、早くも波紋を広げている。あるいは流出の裏に、日中関係の修復に水を差そう
とする意図があったのだろうか。ゆゆしき問題である。
仙谷由人官房長官は記者会見で「影響なく(日中首脳)会談が行われてほしい」と述べた。
その言葉通り、政府は首脳会談の実現に全力を挙げるべきだ。
ソース(北海道新聞・社説) URLリンク(www.hokkaido-np.co.jp)