10/11/05 22:14:08
★レアアース、経済効果に疑問?:越地質協会が指摘[資源]
現状ではレアアース(希土類)は高く売れず、わが国はレアアースに過度の期待をすべきでない―。
日本との共同開発に合意して、期待が高まるレアアース開発について、
ベトナム地質協会のブイ・ドゥク・タン書記長が、経済効率について指摘した。
3日付VNエクスプレスなどが報じた。
現段階では、レアアースへの需要はそれほど高くなく、
未加工で販売した場合、価格はきわめて安いというのが、タン総書記の挙げる理由だ。
タン氏によれば、国内でレアアースが発見されたのは1958年で、
北部ライチャウ省、ラオカイ省、イエンバイ省、中部海岸で見つかっている。
ライチャウ省では、研磨剤、蛍光体、磁石に使用されるセリウム(Ce)
その他を含むバストネサイト(バストネス石)の採取が可能で、
中部海岸には、同じくセリウムを含むモナズ石や、
蛍光体、磁石、レーザーなどに使うイットリウム(Y)を含む
ゼノタイム(燐酸イットリウム)などが存在している。
■生産実績ほとんどなし
ベトナムのレアアース含有鉱物は1,700万トン、レアアース埋蔵量は100万トン近いと推定され、
埋蔵量では世界10位に入ると、タン氏は述べている。
世界のレアアース埋蔵量は9,900万トンで、毎年平均12万トンが採取されているという。
国内では、旧チェコスロバキアやポーランドが20~30年前にレアアース開発に着手したが、
これまでの生産量はほとんどない。
タン氏によれば、世界のレアアース需要は毎年5%ずつ伸びているが、
今後1,000年分近くの埋蔵量がある。レア(希少な)と呼ばれているが、
レアアースは需要が供給を大きく上回っている資源ではなく、
ベトナムはレアアースに過度な期待はすべきでないという。
特に未加工で販売する場合は、価格が低い。2008年の段階で、
バストネサイト価格は1キロ当たりわずか8.82米ドル(1米ドル=約81円)だったが、
ゼノタイムから精製されるルテチウム(Lu)の酸化物は1キロ当たり3,500米ドルだった。
タン氏によれば、国内にはこのようなレアアース精製技術はないという。
■「環境への影響では日本信頼」
国会科学技術環境委員会のギエム・ブー・カイ副主任も2日、
記者団に対して、レアアースに大きな期待はできない旨の発言をした。
カイ副主任によれば、ベトナムのレアアースに関心を持っている国や外国企業はいくつかあるが、
直接関心を示してきたのは日本であり、共同開発の合意に基づいて、開発を進めるべきだという。
カイ氏は、レアアース開発の経済効果については、
将来的には潜在性が高いが、今後5~10年間は高い効率は望めないとみている。
同氏によれば、旧チェコスロバキアの複数企業がベトナムでレアアース調査を行ったが、
まもなく東欧の社会主義政権が崩壊したため、採掘には至らなかった経緯がある。
同氏は、鉱産開発にともなう環境汚染については、日本企業の安全基準は信頼できるとの意見を述べた。
レアアース調査は今年中にも始まる可能性があり、15年には精製工場が稼働するという。
ソース NNA 2010年11月5日
URLリンク(news.nna.jp)