10/10/24 09:15:28
■著書『甘さと権力』などで食・文化・歴史の関係を興味深く解説
朝鮮日報社と大宇財団が共催、韓国学術協議会(キム・ヨンジュン理事長)が主管する「碩学(せきがく=第一人者)連続講座」
に12人目の講演者として招待された人類学者シドニー・ミンツ教授(88)は、ラテンアメリカとカリブ海地域研究の世界的な権威だ。
ミンツ教授は1951年に米コロンビア大学で博士号を取得、エール大学教授やマサチューセッツ工科大学・プリンストン大学招請教授
を経て、1975年からジョンズ・ホプキンス大学教授を務めている。米国民族学会長も務め、特に人類の歴史に登場する食と歴史の関係
を興味深く説いている。著書『甘さと権力?砂糖が語る近代史』、『Tasting Food, Tasting Freedom』(原題。韓国語タイトル直訳は
『食の味、自由の味』)などは韓国でも翻訳された。ミンツ教授は28日と29日の午後3時からソウル・明洞のYWCA講堂で、食と文化、
歴史に関する魅力的な見解について公開講演を行う。
■カリブ文化の人類学的意味
28日の講演では、カリブ海地域と奴隷制度に人類学の側面からスポットライトを当てる。ヨーロッパ経済でカリブ海地域が重要になった
のは、砂糖のためだった。ヨーロッパ人たちは砂糖の生産のため、1510年ごろから1888年までにアフリカ大陸からカリブ海地域へと奴隷
約1300万人を運んだ。そのためヨーロッパ人は砂糖を低価格で口にすることができるようになったが、奴隷のうち400万人はアフリカを出発
する前、あるいは海上で息絶えた。このように奴隷制度に依存していたカリブ海地域の経済は1650年から1850年まで重視され続けたが、
この過程でアフリカ出身奴隷たちの生活がどのように変化したかを解説する。
■食の人類学
「もし、フランスとドイツにジャガイモやトウモロコシがなかったら、イタリアにトマトがなかったら、韓国に赤トウガラシがなかったら、人々の食は
今とは懸け離れていたはずだ」。29日の講演では、人間が植物栽培や動物飼育を始めたことは、内燃機関の発展や精製された化石燃料
の使用といった技術革命よりも重要な業績であると説く。世界の至る所で、全人類の努力により成し遂げた栽培と飼育は、「火を手に
入れたこと」に匹敵するほど人類の生活を変えた。
もう一つ、人類の食生活を変えたのは、19世紀に約1億人に達する人々が海を渡ったことだ。これにより人々の食は根本的に変化したが、
中でも米国は動物性タンパク質の大量消費国になった。米国は世界最大の大豆生産国でありながら、大豆は食べず、飼料や油を作り、
牛を飼育し調理する。ミンツ教授は「増加する人口、減少する土地資源、衝撃的なエネルギー使用などが全世界の食糧の未来に深刻な
問題を投げ掛けている」と話す。
2000年にスタートした「碩学連続講座」では、昨年までにキム・ジェグォン米ブラウン大学碩座(せきざ)教授=寄付金によって研究活動を
行えるよう大学の指定を受けた教授=(哲学)、ボルフハルト・パネンベルク・ドイツ・ミュンヘン大学名誉教授(神学)、ダニエル・デネット
米タフツ大学教授(認知科学)、モーリス・ゴドリエ・フランス高等社会科学院長(経済人類学)、チョン・ジェシク米ボストン大学碩座教授
(宗教社会学)、マイケル・ルース米フロリダ州立大学碩座教授(生物学・哲学)、キム・ウチャン高麗大学名誉教授(英文学)、フィリップ・
キュン米ハーバード大学碩座教授(中国史学)、スン・ゲホ米テキサス州立大学碩座教授(哲学)、ロナルド・ドウォーキン米ニューヨーク
大学教授(法哲学)、イ・テス仁済大学碩座教授(哲学)を招き、11回の講座を開いてきた。
ソース(Livedoor・朝鮮日報)
URLリンク(news.livedoor.com)
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