10/10/21 05:11:07
- レアアース輸入停滞 中国側が契約破棄、他国経由も拒否 -
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ハイブリッド車(HV)や省エネ家電づくりに欠かせないレアアース(希土類)の取引を、中国企業側から一方的
に破棄される日本企業が出ていることが20日、分かった。9月下旬以降、レアアースを扱う日本企業30社のうち
中国から輸入できたのは2社だけ。民間の試算では、日本は来年、必要量の3割に当たる1万トンのレアアース
が不足する見通しだという。
経済産業省の調べでは、日本の複数の企業が今月に入り、中国のレアアース供給会社から、輸出契約を破棄
すると連絡を受けた。中国側は破棄する理由として、税関での荷物検査が長期化して船積みの見通しが立たない
ため、日本向けを他国の企業に割り当てたい、と言っているという。
また、ある大手商社は韓国などを経由して日本に輸入しようとしたが、中国企業は「発覚するのが怖い」とし、
契約を断ってきたという。
レアアースの中国税関での手続き停止は、沖縄県尖閣諸島沖の漁船衝突事件で逮捕された中国人船長の勾留
(こうりゅう)延長が決まった2日後の9月21日に確認され、船長が釈放されると、手続きが再開された。
しかし、荷物の全量検査や、これまで必要なかった中国語による輸入申請書の提出などを求められる企業が
相次ぎ、今度は企業が契約破棄の行動に出てきた。経産省は「辛うじて輸入できる企業もあるが、契約破棄が出る
状況では、事態は今後悪化するだろう」(幹部)と懸念している。
日本のレアアース使用企業の中には、「11月初旬までに輸入できないと、操業を止めなければならない」と
訴える液晶関連メーカーや、輸入に頼らずに済むように中国への工場移転を検討し始めたガラスメーカーなど
もある。
日本向けが停止される以前から、中国は生産に伴う環境汚染の拡大などを理由に輸出を削減してきた。今年の
輸出枠は前年比4割減の3万トン。大手商社の双日の試算では、来年の日本のレアアース需要は3万2千トンに
上るが、ほぼ全量を中国に頼る調達は2万1800トンにとどまり、1万トンが不足する見通しだ。
世界生産の97%を占める中国の輸出抑制に伴い、レアアース価格は高騰している。大手商社のレアアース
担当者は、「メーカーが製品にレアアース価格の上乗せをできなければ、経営にも影響が出るだろう」とみている。
中国は、政治的な動きだけでなく、資源市場での影響力強化も考えているようだ。
一方、中国政府は20日、「欧米への禁輸拡大」と報じたニューヨーク・タイムズ電子版に対し「事実関係を調査
している」とコメント。「中国、来年は最大3割削減」とした19日の中国紙チャイナデーリーの報道には「まったく
根拠がない」と激しく反応した。中国商務省は「限りある資源を守り、持続可能な発展を実現するために、
レアアースの採掘、生産、輸出に対する規制措置を続ける。これらの措置は、世界貿易機関(WTO)のルール
に違反していない」と付け加え、「禁輸疑惑」を否定した。
同省によると、中国はレアアースの輸出では世界の9割以上を占めるが、備蓄では3割程度。チャイナデーリー
は19日、同省関係者の話として「このままでは15~20年で(中国の)備蓄が枯渇する」と、制限する事情を
伝えている。(神谷毅、福山崇、北京=吉岡桂子)
ソース : 朝日 2010年10月21日3時1分
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