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問われる「共生」の内実 「歴史資料館」5周年シンポ発言要旨 2010-10-20
【大阪】在日韓人歴史資料館開設5周年記念大阪シンポジウム(16日)に出席した各パネリストの発言要旨はつぎの通り。
必要な権利獲得
□ 金宣吉・神戸定住外国人支援センター理事長=
上滑りの「共生」という言葉が広がっている。もっと発信していかなければならない。
在日ベトナム人の民族名使用が減っている。アジアの子どもたちはなかなか本名を名乗れない。
学校現場に本名の教師が一人でもいること、本名で働ける環境を作り出すことが重要だ。
自分は何者であるかは人権の基本だ。ニューカマーの人たちの苦労は我々の歩んできた苦労と重なっている。
在日がなんら政治的権利を持たぬということは裸で外を歩いているようなもので、非常に厳しい。
「多文化共生」「多民族共生」の本当の中身が問われている。
「在日」から学ぶ
□ 伊地知紀子・愛媛大学法文学部准教授=
「オモニ学級」など大阪のオモニたちからは人として生きることとはどういうことなのかを考えさせられた。
未来を考えるにあたり、我々が学ぶものが沢山ある。解放後、公的書類の「通名」使用は「在日の人たちのため」と
されてきた。
政府・自治体による「通名」使用誘導では多民族共生はありえない。
国家とはなにか、共同性とはどのように生まれるのか、連帯感はどういうふうに生まれるのかという視点から
深く幅広く見ることのできる立ち位置に在日の人びとはいる。
多文化共生社会の実現へ在日の経験の共有と裾野を広げていければと思っている。
いまも残る差別
□ 李美葉・多民族共生人権教育センター理事長=
日本人を対象に「反差別・人権」について語ってきた。
「差別」はなくなってきているが、まだ沢山ある。自分の子どもたちも受けた。
日本人は在日についてあまりにも知らない。韓流ブームは在日のことを見えなくさせている。
「共生」実現のためには、「在日外国人の先輩」として「差別」と向き合い闘っていかなければならない。
若い人たちが、本当に自由に生きていけるようにしなければならない。
我々は今一度、コリアンが歩んできた道を振り返りながら、これからの多民族社会を真剣に考えていく必要がある。
任用制限撤廃へ
□ 鄭炳采・民団大阪本部事務局長=
行政で「通称名」を認め、誘導していることが通称名使用につながっている。
選択の自由はあるが、名前の持つ意義は非常に大きい。地方参政権の獲得はもちろんだが、
外国人公務員や教員はいても管理職にはなれないという制限はなくしていかねばならない。
民団は在日にルーツを持つ人たちの団体であると同時に、在日外国人の人たちの先駆者としての役割を担っている。
これからは在日外国人の先輩として、もっと彼らと共に諸課題を実現していくことが必要だ。
友好の絆さらに
□ 白真勲・民主党参議院議員=
朝鮮日報の東京支社長のころ、朝鮮日報の特派員も入居差別を受けた。
選挙では「日本と韓国の友好は日本の国益になる」とうったえてきた。
10年、20年前だったら私は当選できなかっただろう。これは日本人が変わりつつあるということだ。
だが、政治家の頭の中は8割が選挙のことであり、政策の中に「外国人」はないのが現実だ。
外国人に対する不安心理を煽る人たちがおり、非常に残念だ。先進国のなかで、重国籍を認めず、
生地主義を認めず、そして永住外国人の地方参政権を認めていないのは日本だけだ。
在日の課題共有 会場参加者の声
全国在日外国人教育研究所(京都市)の小西和治さんは、「未来予測」を当事者の側から発信するタイムリーで、
貴重な催しだったと歓迎。
京都国際学園前理事長の宋基泰さんも「韓日の100年を通して、これからの在日の未来を考えていく良い企画」と
喜んでいた。
神戸市の朴真由美さん(31、主婦)は、「とても有意義な時間だった。様々な問題や課題が残っている、
こういったことに取り組めるというのも在日だからこそではないか」と評価。奈良県の申載季さん(64、主婦)は
「やっと子どもから手が離れたので、パネリストたちからなにか一つでも学びたかった」と参加の動機を語った。
元高校教員の藤川正夫さんは、公立学校の外国籍教員に対する任用差別について、
「緊急を要する課題」と取り組みへの決意を新たにしていた。
(2010.10.20 民団新聞)
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