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発信箱:「日本外交の過誤」に学ぶ=福岡賢正
「日本外交の過誤」と題された調書がある。といっても、尖閣諸島沖で起きた中国人船長逮捕をめぐる
この間の駆け引きを分析したものではない。満州事変から敗戦に至るまでの日本の外交が、
それぞれの局面でどう間違ったのか、現実にとりうる他の選択肢はなかったのか。
敗戦から6年、時の首相、吉田茂の命を受け、外務省の若手外交官たちが分析し、まとめた文書だ。
先輩たちが陥った誤りを、その多くが存命中に後輩たちに聴取、検証させるという思い切った手を
吉田がとったのは、悲惨な結末を招いた過去から、中立的な実務家の目で教訓をくみ取らせ、
未来に生かしたかったからだろう。調書は50年以上極秘にされていたが、03年に公表され、
国民共有の財産になった。外務省まで行かずとも、小倉和夫著「吉田茂の自問」などで読める。
その調書は、例えば満州事変後の国際連盟脱退についてこう書く。「四十二票対一票というようなことに
なっても連盟に止まるというだけのよい意味の図太さがあってよかった」。当時、大衆も新聞も連盟脱退を
歓呼の声で熱狂的に迎えたことを思えば、調書の通りにしていたら、世論の総すかんを食っただろう。
それは、各局面における調書の指摘のほとんどに当てはまる。
結論として調書は
▽感情におぼれず、物事を現実的に考え、よい意味の実利主義をとるべきだ
▽焦るのは禁物だが、機をつかむには敏でなければならない
▽決断力と実行力が重要で、行きがかりにとらわれるな
--などの教訓を挙げ、世間的には不評でも、あえて行う気概が必要と説く。
今回の尖閣問題への対応も、その教訓に照らして考えるべきだろう。過熱したナショナリズムは昔から
外交の手足を縛ってきた。そのことを、かの国の人々と共に、私たちも再度胸に刻みたい。(福岡報道部)
毎日新聞 2010年10月19日 0時11分
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