10/10/19 03:21:51
中国で広がる大規模な反日デモに中国当局の影がちらついている。沈静化しつつあった、
尖閣諸島を巡る領土問題に突然、再び火がついた格好だが、発生時期や場所など、
官製デモだった形跡が次々と浮上。“やらせ”という指摘も出ている。背景にあるのは
ノーベル平和賞などをめぐる騒ぎや人民元切り上げ問題、共産党内部の権力闘争などの
内憂外患。国内の不満分子を押さえ込むための手段として、従順な「日本」が、いいように
利用されているのか。
「打倒小日本(日本人の蔑称)」「釣魚島を守れ」-。16日に中国内陸部、成都、西安
、鄭州の3都市で起きたデモに続き、17日には四川省綿陽市で、今回としては最高の
3万人が反日デモを開催。一部が暴徒化して、日本車が壊されたり、日系の家電店、
日本料理店などが襲撃された。
中国外務省は17日、参加者に冷静な対応を呼びかける談話を発表。対策を講じる
構えはみせたが、デモは12日あたりからインターネット上で呼びかけが始まっていた。
ノーベル平和賞発表時に瞬時に情報を遮断した当局は当然、事前に状況を把握して
おり、黙認していたのは明白だ。
また、17日付「リンゴ日報」など複数の香港メディアは、反日デモは「各大学の学生会
が組織したもの」と報じた。成都在住の日本人教師も「大学関係者から連絡を受けていた」と語る。
中国の学生会は共産党の下部組織、共産主義青年団の支配下にあり、当局の容認なし
でデモを起こすことは考えにくい。
「今回のデモは中国当局の完全なヤラセです。国内で充満する政府への不満のガス抜き
であることは明白です」と指摘するのは、中国問題に詳しいジャーナリストの宮崎正弘氏だ。
「デモの発生場所から、中国政府の意図が透けて見えます。発生源の四川省成都は
大使館はおろか、領事館さえない場所。広州のように進出している日系企業自体も少ない。
パフォーマンスをするなら絶好の立地だったというわけです」
ちょうど16日、日本では都内の在日中国大使館周辺で反中デモが予定されており、これに
対する意趣返しともみられたが、「自然発生的にできたデモにしては、主張や抗議の内容が
あまりに首尾一貫している。プラカード自体が検閲を受けている可能性は否めない」と宮崎氏。
では、今になって、「反日」をあおり立てる背景には何があるのか。宮崎氏は、中国の内憂
外患のお国事情を挙げる。
ひとつは若者の不満に対するガス抜きだ。民主運動家、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏(54)が
ノーベル平和賞を受賞したことで、若者中心に、劉氏を釈放せよとの世論が高まっていた。
「政府側はノルウェー政府に猛反発しましたが、民主化の機運が広がる若者には熱狂的に
受け入れられました。不満の発散場所を人工的に作る必要があったのです」
こうした若者の心理を代弁したのは、若手人気作家のカリスマ的存在である韓寒氏。自らの
ブログで「反日はマスゲームだ」と「官製デモ」の内幕を揶揄している。
デモが起きた地域は経済発展が沿岸部に比べ遅れており、大学卒業者の就職難も最も
深刻で、ガス抜きには最も効果的な地域でもあった。
また、チリの炭鉱事故で33人が奇跡の生還を遂げたが、中国では毎年数千人が炭鉱
事故で死亡。ネットで政府批判が噴出していたことも影響があったという。
さらに、複雑化させているのが共産党の権力闘争だ。反日デモが起きた省の主要指導者は
ほとんど保守派。「デモを仕掛けたのは、上海派といわれる反主流派が主導した可能性が
高いでしょう。主流派への嫌がらせですよ」という。
国内問題に加え、人民元切り上げ問題などで、欧米を中心とする海外からの圧力も高まる
中、目先を変えるターゲットに選ばれたのが日本ということなのか。
物言わぬ菅政権の弱腰ぶりを見抜いた中国は今後、対日外交を自国優位に進める
どころか、国内問題でもますます日本カードを使ってくることが危惧される。
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