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- 【コラム】日本で子育てを経験して -
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東京都内のショッピングセンターには、売り場の中央に乳幼児のための遊び場が設置されている。その遊び
場に2歳の子どもを連れて行くと、いつも面倒なことになる。幼い子どもが遊ぶためのスペースであるにもかか
わらず、日本の子どもたちは一人で遊ぶか、母親と遊ぶかのどちらかだ。うちの子どもは韓国人の遺伝子を
持っているからか、遊び場でほかの子どもを見つけると、すぐさまその子に駆け寄って、一緒に遊ぼうとする。
だがそうすると、日本の子どもは十中八九、逃げてしまう。
日本の子どもは本来そういう性格なのだと思っていたが、ひょっとしたらそうでもないかもしれない、という
思いが頭をよぎった。昨年のある日、遊び場で、わが子と喜んで遊んでくれる子どもがいた。妻によると、二人
は遊び場を駆け回りながら、キャッキャと大声を上げて遊んでいた。すると、近くの売り場で買い物をしていた
日本人の母親が駆け寄ってきて、自分の子どもを呼び付け、「静かにしなさい!」とほおを引っぱたいたという。
妻は「遊んでくれた子どもに申し訳なくて仕方がなかった」と話した。
数カ月前、子どもを動物園のオットセイショーに連れて行った。オットセイがよく見える前の方に、子ども席が
設けてあった。案内係が、わが子を含む20人ほどの子どもたちを3列に並ばせた。日本の子どもたちはおとなしく
一人でオットセイを見学しているのに、案の定、わが子だけはほかの子どもたちに興味津々な様子だった。
ほかの子に申し訳なく思い、ショーが終わる前にわが子を連れ出した。別の場所で行われたワシのショーでも、
同じだった。トイレから戻ってくると、ほかの子たちは母親の横でおとなしく見ているのに、わが子だけはワシを
触ろうと前に飛び出していた。
近所で子どもを連れて歩いていると、日本のおばあさんたちは、「何歳?」と声を掛けてくれる。「2歳」と答え
ると、「大きいねぇ」「元気だねぇ」と決まりきった言葉が返ってくる。だが、その程度だ。もちろん日本でも、子ども
をなでたり抱っこしたり、ほお擦りをしてくれる人に出会ったこともある。それは、観光地で出会った中国人
たちだ。子どもを抱っこして、一緒に記念写真まで撮ったこともある。韓国の食堂では、親がゆっくり食事できる
よう、店員が子どもを見てくれることもある。「高い高い」などをして子どもと遊んでくれる人もいる。
子どもとひとしきり格闘すると、「そろそろおとなしくさせる時期かな」という悩みが頭をもたげる。だが妻は、
「韓国だったら、うちの子は普通だと思う」と話す。「気の弱い子より活発な子の方がいい」という人もいる。だが、
「他人に迷惑を掛ける子でもいいのか」と言い方を変えれば、もちろん違う。
日本では、食堂やレストランの店員は子どもと遊ぶ代わりに、幼児用のいすやキャラクター付きの食器、
時には小さなおもちゃまで貸してくれる。韓国の店員が「情」を与えてくれるとすれば、日本の店員は「配慮」を
与えてくれるというわけだ。幼児用のいすに座り、一人でおとなしくおもちゃで遊ぶ子どもを見ると、少し気の
毒にも思う。だからといって、子どもが店内を走り回っているのに平気で食事が喉を通るわけではない。
見知らぬ人が子どもをなでたり抱っこしたり、ほお擦りしてくれるのを、そばで笑顔で見守っていながらも、
正直快く思っているわけではない。
元朝日新聞記者の西脇氏が12日付本紙に寄稿した「韓国で子どもを産み、育ててみて」と題するエッセーを
読みながら、日本での育児について考えてみた。西脇氏が韓国の育児文化を肯定的に見ているように、わたしも
また、日本の育児文化を肯定的に考えている。互いの長所だけに注目すれば、不思議なほどに、日本に足り
ない部分が韓国には多く、韓国に足りない部分が日本には多い。年末に韓国へ戻った際、子どもが他人に迷惑
を掛けたときにはきちんと叱るつもりだ。また、よその子に接するときには、1メートルほど距離を置いて、
「こんにちは」「かわいいね」と言葉を掛ける程度にとどめるよう心がけたい。
鮮于鉦(ソンウ・ジョン)東京特派員
ソース : 朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2010/10/18 16:04:23
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