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ようやく中間選挙での共通点が見えてきた。民主党、共和党ともに外国人と貿易をやり玉にあげるつもりのようだ。特に中国への
敵意は激しい。米国はこのような保守主義の経済的代償を来年支払うことになるかもしれない。
米国の選挙運動で、これほど外国の製品、資本、人への敵意がむき出しになるのはここ何十年もないことだ。保護主義的
アピールは、ビル・クリントン元大統領がホワイトハウスを去ってからというもの、民主党にはすっかりおなじみだ。だが今年、多くの
共和党議員も、世界経済の現実を公然と批判するようになった。これは厄介なことになるかもしれない。共和党は下院ばかりか
上院も制する可能性があるからだ。
有権者の支持を受けて、議会を掌握し、輸入品に記録的な関税を課した大恐慌時代のスムート・ホーリー法を復活させたと
しても、米国人の雇用が拡大したり、米国の経済的リーダーシップへの信頼が回復するわけではない。
中国への反発は特に激しい。ペンシルバニア州では先週から、民主党の上院選挙活動委員会が、ジョー・セスタク下院議員の
テレビ広告を開始した。同議員は共和党のパット・トゥーミー元下院議員を追撃している。
テレビ広告は次のようなものだ。まず「大富豪のパット・トゥーミーは、雇用のために戦っている・・・中国で」というアナウンサーの声。
トゥーミー氏の背後には真っ赤な中国国旗が映り、再びナレーションが入る。「彼がウォール街、香港の大物実業家(当然画像あり)
に便宜を図り、議会で中国への最恵国待遇に賛成票を投じたことで、240万人の米国民の雇用が失われた」。最恵国待遇は
クリントン元大統領が強力に後押しし、署名にこぎ着けた貿易法案だ。
そしてとどめの一言。「ジョブ・キラー、パット・トゥーミー。上院選挙に立候補すべきでは・・・(ドラの音)・・・中国の」
過半数を維持するために苦戦を強いられている民主党は、国中至るところでドラの音を響かせている。海外で事業を展開する
米国企業(多くは大手企業)のバッシングも選挙戦略のひとつだ。
だが米経済団体、ビジネス・ラウンドテーブルの報告によると、米国の約3800万人の雇用と、GDPの約30%が輸出入に頼って
いるのが現実だ。「アウトソーシング」は米国企業が競争力を維持するために必要となることが多く、米ダートマス大学の経済学者、
マシュー・スレイター氏の研究では、海外で多くの従業員を雇用する企業は、自国でも採用に積極的であることが示されている。
それでも「ドラ」は、全国共和党下院委員会(NRCC)の最新のテレビ広告でも使われている。この広告は、自由貿易を直接
攻撃しているわけではないが、昨年の8120億ドル(約66兆円)の景気対策が中国で雇用を生み、オバマ政権のばらまき政策に
よって、米国人は中国の債権者に依存するようになったと批判している。結局、米国の不況は外国人の責任ということが言いたい
わけで、テーマは全く同じだ。
インディアナ州で共和党から立候補しているトッド・ヤング氏の広告も、民主党の対立候補、バロン・ヒル氏を「インディアから
立候補しているのか、中国から立候補しているのか?」と非難する似たり寄ったりの内容だ。
共和党は必死で新機軸を訴えようとしているが、それが正しいわけでない。共和党支持が拡大しているのは、国民が新たな
景気回復策を求めているからにすぎない。規制と税の負担を軽減することが雇用創出をもたらすと説明する候補者に、有権者は
耳を傾けている。共和党下院議員が中心になって作成した「アメリカとの誓約(共和党選挙公約)」に、長きにわたって米国に富を
もたらしてきた貿易への言及はない。
(以下略。全文はソース元でどうぞ)
ソース(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版) URLリンク(jp.wsj.com)