10/10/08 22:01:37
(>>1の続き)
中国の民主的権利や人権の抑圧には、欧米諸国、特に米国が批判し、改善を要求してきた。
中国は、公式には「内政問題」として突っぱねる一方、天安門事件の政治犯を「病気治療」の名目で
出国させるなど圧力を交わす取引に応じた。
しかし中国が経済大国化し、発言力を増した近年は、欧米の対中圧力は著しく弱まった。
昨年春以降、訪中した米国のペロシ下院議長やクリントン国務長官は人権問題に触れず、
中国の知識人層を失望させた。11月に訪中したオバマ大統領も同様で、その翌月、
劉暁波氏に重刑判決が出た。
劉氏へのノーベル賞授与が、中国の民主化や人権問題への国際的関心を高めるのは間違いない。
それは中国が軍事拡張を続け、北朝鮮やミャンマーなどの独裁政権と親密な関係を築いていることへの
懸念も背景になっている。
中国は天安門事件後、一党独裁下で、経済は急成長したが、同時にさまざまな矛盾が噴出、
社会には不満が充満している。市場経済化に見合った政治改革が停滞し、少数の特権階層が
果実を独占する腐敗構造が形成された結果である。
中国指導部は社会各層から政治改革の圧力を受けており、「08憲章」で一つの方向を示した
劉暁波氏の影響力を恐れたのが重刑を科した理由だった。その劉氏の受賞が国内に与える影響は、
徐々に大きくなっていく可能性が高い。
1984年のロサンゼルス五輪で中国選手が金メダル1号を獲得したとき「ゼロの突破」と国中がわいた。
ノーベル賞も中国の悲願だが、今回の「ゼロの突破」は国内報道も規制されるだろう。
経済はじめ多くの分野で国際標準化しながら、普遍的価値観を拒絶する中国を「異形の大国」と表現したのは、
ある改革派の知識人だ。劉氏の受賞にどう対応するかは、内政問題も絡み中国指導部の試練になりつつある。