10/10/03 13:30:02
【コラム】「欧州一辺倒」のノーベル文学賞
今年6月に全世界を熱くしたワールドカップ・サッカーは、ヨーロッパの「お祭り騒ぎ」に終わった。
スペイン・ドイツ・オランダの欧州3カ国に、南米ウルグアイが唯一、非ヨーロッパ圏代表として
ベスト4に勝ち進んだ。こうしたヨーロッパ一辺倒の構図は、ノーベル文学賞でもそっくりそのまま
繰り返されている。
ノーベル文学賞は1994年に日本の大江健三郎氏が受賞したのを最後に、徹底してアジアと縁がない。
この期間中、北米・南米・中東も事実上、ノーベル文学賞から締め出されてきた。
2003年に南アフリカ共和国の小説家J.M.クッツェーが受賞した例があるが、彼はオランダ系白人一族の出身だ。
99年から09年までの受賞実態にはさらにあきれる。この間の受賞のうち、 7回はイギリス(3回)と
フランス・ドイツ(各2回)が分け合っていた。オーストリア人作家エルフリーデ・イェリネク(04年)を入れると、
英仏独の西ヨーロッパ語「3強」が11回中8回を占めている。これでもノーベル文学賞が
「ヨーロッパの、ヨーロッパによる、ヨーロッパのための文学賞」と騒がれないなら、むしろそのほうが異常だろう。
中国からフランスに亡命した高行健(ガオ・シンジェン、00年受賞)と、トルコのオルハン・パムク(06年)、
昨年の受賞者でルーマニア出身のドイツ亡命作家ヘルタ・ミュラーからも分かるように、
非ヨーロッパ人や辺境のヨーロッパ人がノーベル文学賞を受賞するには、ヨーロッパに亡命しているか、
親ヨーロッパ的ではなければならない。このことも、同賞がヨーロッパ中心の視点であることをうかがわせる。
ノーベル文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーで08年まで事務局長を務めたホーラス・エングダール氏に
至っては「文学の世界の中心は米国でなくヨーロッパ」と発言、波紋を投げかけた。
業績の数値化がある程度可能なほかの分野と違い、文学は各国固有の言語と文化的基礎の上で花開く。
そう考えると、「ヨーロッパ=文学先進国」というのは文化的に野蛮だ。「ノーベル文学賞の権威が
年を追うごとに下がっているのは、その偏向性のため」とも指摘されている。米国の時事週刊誌
「ニューズウィーク」は昨年のノーベル文学賞発表後、「ノーベル文学賞が取るに足らない本当のワケ」
というコラムで、「ヘルタ・ミュラー氏のノーベル文学賞受賞が持つ正確な意義は、彼女が賞金140万ドル
(約1億1600万円)を受け取るということだけ」と皮肉った。エングダール氏の後を継ぎ、
昨年からスウェーデン・アカデミー事務局長を務めているペーテル・エングルンド氏も
就任直後のインタビューで「ヨーロッパ中心のノーベル文学賞運用は問題がある」と自ら認めた。
またノーベル賞発表のシーズンが巡ってきた。AFPをはじめとする外信各社は、文学賞について、
96年以降、詩人が一度も受賞していないことを取り上げ、「今回は詩人が受賞する可能性が高い」としている。
イギリスの有名なオンライン・ブックメーカー「ラドブロークス」は受賞者を予想するオッズ(賭け率)で、
スウェーデンの詩人トーマス・トランストロンメルを最有力候補、韓国の高銀(コ・ウン)、
シリアのアドニスなど3人を2位タイとしている。
偏向性が批判され、その権威が下がっているとはいえ、それでもノーベル文学賞が受賞できるなら
悪いことはない。主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)議長国として、経済面の実力だけでなく、
文化面でも世界に認められるには、避けて通れない関門なのかもしれない。しかし、それは韓国文学が
世界へ飛躍するのに、ノーベル文学賞が貢献する面も一部あるということであって、
「韓国文学のレベルをヨーロッパ人に認めてもらうためではない」という落ち着いた、
そして堂々とした姿勢が必要だ。
金泰勲(キム・テフン)文化部次長待遇
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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2010/10/03 10:51:42
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