10/09/30 23:03:05
中国政府が、中堅ゼネコン「フジタ」社員4人のうち3人を解放したのは、中国漁船衝突事件で日中間に生じた亀裂を、
これ以上拡大するのは戦略的に不利と判断した結果とみられる。中国は今後、国内世論の動向を見極め、残る1人も
解放、関係修復に動く見通しだが、両国民間の感情対立は深刻で、日中両政府の打つ手は限られ、短期間の修復は
困難と外交筋はみている。
フジタ社員が軍事管理区に立ち入ったとされることは違法行為であり、漁船衝突事件とは無関係のはずだった。しかし
日本側への通告が、温家宝首相が追加措置の可能性に言明、勾留中の船長の即時釈放を迫った直後だったため、
日本側は関連性ありと判断、船長釈放に踏み切る要因になったとされる。
中国政府に近い筋によると、温首相の発言は、日本が船長の勾留を続け立件した場合、日中は敵対的関係になる
との「悲痛な危機感」からだった。胡錦濤政権が推進してきた戦略的互恵関係が破(は)綻(たん)するとの危機感である。
中国では近年、ネット世論が政府への影響力を強めている。漁船衝突事件後、中国政府が、ネットの反日強硬論と
相乗し、民間交流や経済関係にも影響が及ぶ対抗措置を相次いで打ち出した理由の一つだ。
しかし日中は相互補完、相互依存の関係にあり、例えば日本ツアーの自粛で打撃を受けるのは、日本だけではない。
中国の旅行業界は、ツアー中止により、キャンセル料を含め打撃を受け、顧客の苦情殺到に音を上げているという。
日本側が船長を釈放した後、中国政府は事態収拾への動きを始め、フジタ社員の解放もその一環だった。軍事管理区
立ち入り事件では通例の国外退去処分にしなかったのは、中国政府の政治判断とみてよい。
中国が関係修復に動いたのは、今回の事件への対応が、日本の反中世論に火をつけた上、国際社会で中国脅威論
が再燃し、「平和と発展」戦略の看板に傷がついたこともあった。中国筋によると、政府部内では事態への対応策をめぐり
討議が続いているという。
ソース(MSN産経ニュース) URLリンク(sankei.jp.msn.com)