10/09/25 00:48:57
これが民主党の誇る「政治主導」の帰結である。
那覇地検は、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で勾(こう)留(りゅう)した船長の釈放を決定したが、仙谷由人
官房長官は「地検独自の判断だ」と繰り返した。これを真に受けるのはよほどのお人よしだろう。
中国の要求を丸呑(の)みした今回の釈放劇は、尖閣諸島の危機のみならず、日本と日本人に多大の災厄を
もたらすことになるが、民主党政権に国家を担う統治力がないことも明白になった。
中国は今回の事件で、ありとあらゆる嫌がらせをやってきた。
青年訪中団の突然のキャンセルや閣僚級の交流停止は序の口で、省エネ家電の部品に不可欠なレアアースの
輸出を停止し、果ては何の関係もない「フジタ」の社員4人を拘束した。
国家は、領土、人民、主権の3要素から成り立っているが、領土あっての国家である。尖閣諸島の実効支配を狙う
中国が、船長逮捕を奇貨として山賊まがいの強硬策をとったのはある意味、当然のことだ。
国家意思をむき出しにして攻勢を強めてきた中国に対して日本政府の対応は、あまりにもお粗末だった。東シナ海の
権益をあわよくば独占しようという中国は、「なんとか冷静に、穏便に」という基本方針で通用する相手ではない。
韓国の反日デモに参加した岡崎トミ子氏を国家公安委員長に起用した人事が象徴するように、菅直人首相をはじめ
民主党幹部のほとんどが、国家意識があまりに希薄だったのも災いした。
事件発生以降の首相の言動を追うと、領土、人民、主権を命がけで守ろうという気迫がまったく感じられないのだ。
官房長官に至っては「偏狭なナショナリズムをあおらないように」と、何か日本側メディアに問題があるかのような発言を
繰り返した。しかも、釈放の責任を那覇地検に押しつけるようないいぶりをみせた。これでは、命の危険を顧みず逮捕
した海上保安官や連日取り調べに当たった現場の検事が浮かばれない。
フジタの社員が拘束されたのがわかったのは21日だが、外相や現地の大使が中国に強く抗議し、釈放を求めた形跡
がない。これでは、無理が通れば道理がひっこむ中国外交にかなうはずがない。
政府が「法と正義」を金看板とする検察に事実上、「政治判断」を強いた罪も重い。「日中関係を考慮」して容疑者
が釈放されるなら、東京で中国人が事件を起こしても中国がねじこめば、釈放されかねない前例を残した。大阪地検
特捜部の主任検事が逮捕された検察庁の足元を見たようだが、検事総長は何をしていたのか。
明治以来、先人たちが営々として築いてきた法治国家の根幹を揺るがす事態を招いた責任は、菅政権が負うべき
ものである。
ただ、一連の出来事で、教訓となったのは「日中友好」というスローガンがいかにまがい物かを国民に教えてくれたことだ。
政治家や経済人の一部には、日本の首相が靖国神社に参拝さえしなければ、日中友好は盤石だと勘違いしていた人
がいたが、まったくの間違いだったことが証明された。
それともう一つ。「偏狭なナショナリズム」に沸く中国に観光でお出かけになるのは、しばらく控えた方がいい。どうしても
行くのならビデオカメラは持って行かぬことだ。中国は、気に入らない日本人をいとも簡単に逮捕し、大使館もあてに
ならないのだから。
ソース(MSN産経ニュース)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)