10/09/11 09:29:12
≪阿部知子氏≫
学ぶ権利を第一に考えよ
--なぜ、無償化適用に賛成か
「朝鮮学校の子供たち(生徒)の立場になって考えてほしい。『キミたちだけは最初から枠の外だよ』といわれたら、どれほど傷つくか。
きっと『(在日という)出自のために、差別を受けた』『排除された』と感じるだろう。この問題は、子供たちのトータルとしての成長、
学ぶ権利を第一に考えてほしい」
○溝埋める作業が必要
--北朝鮮の影響下にある思想教育などは問題とならないのか
「私も、北朝鮮の政治体制や朝鮮学校の教育内容に『まったく問題がない』とは思っていない。ただ、これは“鏡の両面”でもある。
逆に日本の学校の教育においても、アジアの近代史について十分に教えている、といえるだろうか。
“互いの溝”を埋めていく作業が必要だし、今後、教育内容は変えていくこともできる。もし、障害があるならば、
取り除く方法を考えていけばいい」
「また、ひと口に朝鮮学校の生徒と言っても、いろんな国籍の子供たちがいる。在日の3世、4世である彼らが、
母国語である韓国・朝鮮語を学び、仲間たちと集う場として、朝鮮学校を選択しているケースも多いのだ。
次代の東アジアを考えるとき、彼らの一人一人が“親善大使”になるかもしれないではないか。
こんなことで『排除された』という思いを抱かされるのは、お互いの国にとってよくない」
--文科省の視察時、歴史の授業を見せなかった問題も発覚した
「(文科省の専門家会議の報告書は)『授業内容は基準としない』としている。人は追い詰められれば追い詰められるほど、
殻に閉じこもってしまうものではないか。お互いがハリネズミのようにして、敵意をむき出しにしていては、
相互理解のハードルは高くなるばかりだ。マジョリティー(多数)である日本人の方から、まず、手を差しのべるべきだと思う」
--拉致被害者の家族も、「拉致問題解決の妨げになりかねない」として反対しているが
「無償化の問題と、拉致問題とを絡めて『対立的』に論じるべきではない。国交がなく、情報が少ない中で、
政治に翻弄(ほんろう)されている気がする」
○二重の不平等になる
--朝鮮学校生徒の経済的な側面も訴えていたが
「現政権は高校授業料の無償化を導入する代わりに従来の(所得税などの)特定扶養控除を縮減した。
ほかの学校に通う生徒はまだしも、(無償化が適用されていない)朝鮮学校の生徒はより負担が大きくなる。
彼らも納税の義務を果たしている。『控除は減らします』『無償化もしません』では、“二重の不平等”ではないか」
【プロフィル】阿部知子
あべ・ともこ 社民党衆院議員、小児科医。昭和23年、東京都生まれ。東京大医学部卒。
東大病院小児科勤務、千葉徳洲会病院院長などを経て、平成12年6月の総選挙で初当選(4期目)。
現在も非常勤で病院の思春期外来を担当。国会では医療、教育、戦没者の遺骨収集などに取り組む。
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【プロフィル】櫻井よしこ
さくらい・よしこ ジャーナリスト。昭和20年、ベトナム生まれ。ハワイ州立大学歴史学部卒。
「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙東京支局員、日本テレビ・ニュースキャスターを経て、フリーに。
『権力の道化』『いまこそ国益を問え』など著書多数。
以上。