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小説の主人公・王仁は、5世紀ごろ百済から日本に渡来し、『論語』と『千字文』を伝えたとされる人物だ。
しかし王仁に関する記述は、『日本書紀』や『古事記』など日本側の記録にしか残っておらず、韓国の歴史書にはない。
作家のソン・ウンイル氏は、韓国史に王仁の記録がないのは、百済が歴史の表舞台から退場したのが発端と見ている。
従って、今回小説の中でよみがえった王仁は、一個人の復活というよりは、百済の再発見という作家の意志が具現化した存在となっている。
復活した王仁は、「学者」のイメージにとどまらず、高句麗と対決する勇猛な武人、
そして百済王室の女性と心を通わせるロマンチックな男性としても描かれている。
これによって王仁は、4世紀から5世紀にかけて大陸や日本との間を行き来し、輝かしい文明を開花させた百済の英雄として生まれ変わった。
ソン氏は、長編・短編いずれにも優れた作家だが、とりわけ長編では、十分に練られた想像と迫真の描写を駆使し、読者を魅了する。
三韓の一つ、馬韓で生まれながらも、馬韓が滅び百済人として暮らす中で感じる悲哀、
王室の公主との政略結婚、別の女性に捧げた愛、
公開土王との出会いなど、興味深い事件とともにさまざまな物語が発展していく。
和解と共存は、ソン氏の長年のテーマだ。
今回の長編について、著者自身は「檀君天神を信仰した百済の人々を通じ、疎通と共存、平和と人間の尊厳を描いた作品」と語った。
全3巻。各巻350ページ、1万2000ウォン(約864円)。
ソース 朝鮮日報 記事入力 : 2010/08/29 08:48:37
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