10/08/21 11:09:41
韓国鉄道公社(KORAIL)はこのほど、ソウル市の竜山駅周辺開発事業の実務的責任を負っているサムスン物産に
対し、「資金調達に責任が持てないならば、事業から手を引け」と要求した。同事業は総費用31兆ウォン(約2兆
2600億円)、用地代金だけで8兆ウォン(約5800億円)に達する過去最大規模の不動産開発事業だ。
KORAILは地権者で、25%の権益を保有する最大の出資者でもある。サムスン物産は640億ウォン(約47億円)を
投資し、6.4%の権益を保有しており、施工業者を代表し、用地取得や許認可、分譲などの実務を担当してきた。
ところが、地権者のKORAILと事業主体のサムスン物産が対立し、事業の先行きは不透明となった。
先ごろには、ソウル市の良才貨物ターミナル開発事業で破産申請が出された。城南市の板橋アルファドームシティー、
ソウル市の上岩DMCランドマークビル、仁川市の松島仁川タワー、高陽市の高陽韓流ランドなどの大型不動産事業も
中断の危機に直面している。生き残ることだけで苦しい建設会社が、巨大プロジェクトに対する支払い保証を拒否し、
資金ルートが断たれてしまったためだ。
韓国の不動産開発事業における資金調達方式は、他国にはない変則的なものだ。書類上の事業会社が当座の資金を
貯蓄銀行から借り入れを行い、用地買収契約だけを結んだ後、用地買収費用の残額と建設費は、施工建設会社の支払い
保証を受け、銀行が融資を行う。事業に成功すれば、事業会社は自己資金を投じることなく、大きな収益を上げることが
できる。銀行は採算性を検討せずに融資を行い、仮に失敗しても、負担を建設会社に転嫁できる構造となっている。
建設会社も工事費を水増しして利益を出す。不動産景気が良く、分譲がうまくいけばよいが、建設会社のリスク負担が
重過ぎるのが現実だ。最近のように、建設会社が売れ残り住宅物件を数多く抱えている状況では、支払い保証を行うのは
困難だ。
売れ残りマンションが増え、住宅売買がなくなり、住宅価格が下げ止まらない。大型不動産事業が相次いで難航して
いるため、不動産市場からの冷たい風が金融機関を凍りつかせるのではないかと懸念される状況だ。変則的な方式による
大型不動産開発プロジェクトをこのまま続けるわけにはいかない。銀行、事業会社、建設会社は事業の採算性を全面的に
見直し、規模縮小や段階的な開発によるリスク軽減策を探るべきだ。この機会に、大型不動産開発プロジェクトに分別なく
融資を行ったり、保証を立てたりする慣行も根本的に改めなければならない。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
URLリンク(www.chosunonline.com)