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記事入力 : 2010/08/08 08:00:14
【コラム】韓国の大企業、もはや「韓国企業」ではない
「財閥」という言葉を久々に耳にした。韓国の大企業オーナーたちの「皇帝経営(独裁経営)」、
「放漫経営」に対する皮肉を込めたこれらの言葉は、1997年のアジア通貨危機当時は多く聞かれた。
少なくとも盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代までは、「大企業=財閥」という公式が通用していた。
だが、現政権の発足以降、「財閥」という言葉はめったに聞かれなくなった。
その「財閥」という言葉が、財閥の下でサラリーマンの成功神話を築き、大統領就任直後に「ビジネス・フレンドリー」を
掲げた李明博(イ・ミョンバク)大統領の口から飛び出した。
李大統領は、7月28日の国会議員補欠選挙を6日後に控え、「財閥(系の金融会社)が日歩を回収する例のように、
高い利子を付けるのは社会正義上、良くない。
大企業は数千億ウォン(数百億円)もの利益を上げている一方で、金のない人々は死にそうだと嘆いているので、
心理的に負担になっている」と語った。
この発言を契機に、与党や政府内部は「大企業」という標的を掲げ、攻勢を浴びせた。
そして、「庶民と中小企業のために」と声高に叫んだ。
「大企業は悪者で、中小企業は弱者」というスローガンは、決して今に始まったものではない。
かつての金大中(キム・デジュン)政権や盧武鉉政権時代にも、選挙となれば与党も野党もこぞってこのスローガンを
叫んだ。韓国の大企業は3000社程度だが、中小企業は300万社を超える。大企業に勤める人は160万人、一方の中小企業は
およそ1150万人に上る。票数だけで見れば、大企業は「極めて貧弱な少数派」に過ぎないわけだ。
政府が本気で中小企業を支援しようというのなら、大企業と中小企業の線引きをするよりも、市場を混乱させ、
健全な中小企業を不健全にする「病んだ中小企業」をまず排除する浄化作業から始めなければならない。
それとともに、大企業が法を犯して中小企業を締め付けることを徹底的に防ぐため、市場の監視者としての本来の役割を
忠実に果たさなければならない。
現在、韓国の看板となっている大企業は、実際には純粋な韓国企業とは言い難い。
サムスン電子の株式は49%以上を外国人が保有している。
ポスコでは約半分、現代自動車も40%近い株式を外国人が保有している。
韓国最大の金融グループ、KB金融と3位の新韓金融は、外国人の持ち株比率が60%に上る。
信じたくはないが、SKテレコムと新世界も、外国人の持ち株比率が半分または半分以上となっている。
もはや、生き残りをかけて、世界市場で韓国を急追する中国や先進国の企業との争いを勝ち抜かなければならない
「グローバル企業」なのだ。
政府がこれらの大企業を締め付け、頑固なまでに利子の引き下げを求め、中小企業との取引で得た利益を吐き出すよう
迫る様子を今、外国人株主たちが見守っているのだ。
世界は急速に変化している。
すでに半分またはそれ以上が外国系になってしまった大企業が、「韓国では、強力な労組だけでなく政府までもわれわれを
苦しめる」と本社と工場を海外に移転させると言えば、政府が引き止めることもできない状況なのだ。
米国政府は先ごろ、2億8000万ドル(約240億円)を支援してLG化学の工場を誘致した。
工場の起工式に出席したオバマ大統領は、「韓国から仕事場が来た」と喜んだ。
韓国政府が世界の変化に気付かずに、中小企業の票集めに躍起になって大企業を冷遇する政策を今後も繰り返せば、
韓国の大企業はグローバル競争でリードを奪うことができなくなる。
さらに、大企業が弱体化すれば、大企業と協力してきた健全な中小企業までも消滅してしまう。
働き口もなくなり、大韓民国の若者の将来も真っ暗になる。
尹泳信(ユン・ヨンシン)経済部長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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