10/08/03 20:11:40
中国残留邦人の子や孫、3割以上が生活保護
寝たきりの母親を介護する艾金海さん。希望のみえない暮らしが続く(伊丹市で)=前田尚紀撮影
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中国残留邦人が帰国後に呼び寄せた子や孫世代らの生活状況について、神戸大の浅野慎一教授
(社会学)が調査したところ、月収10万円未満が半数近くに上り、生活保護受給者は3割超という
困窮した実態が明らかになった。
中国残留邦人支援法の対象外となっている残留邦人2、3世への調査は初めて。
半数以上が言葉の壁を抱えたままであることも判明。浅野教授は「年をとってからの来日で
無年金の人も多い。このままでは保護受給者が増え、自治体の負担が大きくなる。
国が自立支援策を整備すべきだ」と指摘している。
第2次大戦の終戦前後の混乱で、中国に残された中国残留邦人。1972年の日中国交正常化後、
同法に基づき、国費で永住帰国した残留邦人とその家族は今年5月末までに2万786人いるが、
帰国後に中国から呼び寄せた親族は、入管難民法で永住帰国が保障されているにもかかわらず、
支援法の対象外で、厚生労働省も正確な人数など実態は把握していない。
調査は昨年8月から、兵庫、大阪、奈良各府県で実施。残留邦人2、3世とその配偶者など計64人の
生活実態を聞き取ったところ、うち31人(48%)が月収10万円未満で、生活保護受給者は22人(34%)だった。
日本語の会話については「ほとんどできない」「日常生活で困る」が35人(54%)で、
「言葉ができず、仕事が見つからない」「子どもの日本語が理解できず、教育できない」などの声が相次いだという。
大阪市は先月22日、中国残留邦人の親族として入国直後に生活保護を申請した中国人48人に対し、
生活保護の打ち切り方針を決めたが、平松邦夫市長は「生活保護の運用の是非という観点だけで
市に判断を委ねるのは大きな間違い。中国残留邦人の子孫らの処遇をどう考えるかは、
国の責任で別の制度を設け、対応すべきだ」と問題提起した。
厚労省・中国孤児等対策室は「永住帰国した残留邦人を通じて2、3世の生活実態調査を進めているが、
現段階では支援策について検討するか否かは未定」としている。
◇
兵庫県伊丹市に住む艾金海さん(55)は1998年、中国残留孤児の母親、山川秀子さん(68)の
永住帰国に伴い、遼寧省から来日した。勤めていた産業廃棄物処理会社が2007年に倒産、
解雇された。その後、ハローワークで再就職先を探したが、日本語が不自由なことを理由にすべて断られた。
県営住宅で妻(57)と2人暮らし。年金の受給資格がないため、月約12万円の生活保護費が頼りだ。
昨年2月、難聴で糖尿病を患う妻にリンパ節の腫瘍が見つかった。近くで一人暮らしをする母親は寝たきりに。
艾さんが家事や介護を担う。
生活費の足しに、とアルミ缶拾いもするが、半日がかりで収入は約800円。最近は左半身にしびれがあり、
週1回が限度だ。買い物は夜。割引商品が並ぶタイミングを見計らってスーパーに向かう。
「自由に肉や魚を買える人たちがうらやましい」と話す。
黒竜江省から17年前に帰国した神戸市垂水区の中国残留婦人3世の女性(40)は日本語がうまく話せず、
日本で生まれた長女(12)、次女(9)との意思疎通さえ思うようにいかない。
平日は工場で働き、土曜日も訪問介護のパートをこなす。
「日本語を習いたいが、仕事の時間を減らせば生活できなくなる」と悩む。
◇中国残留邦人支援法=中国残留孤児らの帰国促進と自立支援を目的とした法律で、
永住帰国する本人と生活を共にする子供1人、その家族が対象。国が帰国費を支給するほか、
半年間にわたる日本語・生活習慣などの学習、定住先での就労や通訳の支援を行う。
2007年に改正され、国民年金の満額支給と生活支援金の給付も盛り込まれた。
(2010年8月3日18時11分 読売新聞)
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