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記事入力 : 2010/07/30 11:45:40
【コラム】サムスンとアップルに納品してみたら…
数年前のことだ。電子関連のベンチャー企業を経営するA氏がある日、米国のカジュアルブランド「GAP」のTシャツを
色別に3枚購入した。
韓国の大企業は、A氏が経営するような中小企業に納品単価を下げさせ、サンプルを作らせておきながら代金を支払わない
といった横暴を日常的に行っており、A氏も普段からこれに悩んでいた。
A氏は「わたしも休日には、せめて服くらいは甲(一番良いもの、韓国語の発音は「カプ」でギャップに似ている)を
好きなように買って着てみたい」と話す。
中小企業の事情をよく知っているという現政権が発足しても、A氏が泣きながら乙(泣く=韓国語でウルダ、ウルは乙の
韓国語読みでもある)を選ぶ苦しみは変わらない。
簡易投稿サイト「ツイッター」では最近、米アップル社とサムスン電子に納品している中小企業社員のブログが
話題となっている。
アップルは6カ月単位で購入予定の数量をあらかじめ下請けに連絡し、設備投資が必要な場合には、その費用を考慮して
合理的に単価を引き上げることも認めるという。
この社員は、「韓国の大手企業と取り引きをしてみたら、天国から地獄に落とされたような気分だった」
「携帯電話が突然鳴り響くと、心の中には“放っておけ”という思いがいつもわいてくる。そのような思いのためか、
ある日突然、数億ウォン(1億ウォン=約730万円)分の在庫を残し、18カ月の地獄体験は終わった」と打ち明けた。
大企業の横暴と中小企業の悔しさは、単なる話題の種で終わらせるような問題ではない。
韓国経済の競争力を根本から引きずり下ろし、未来を遮る問題の本質がここにあるからだ。
衰えてきている企業に代わって新たな企業が誕生し、その役割を埋め合わせる、健全な産業生態系に関連する問題だ。
巨大化し、官僚化した大企業は、果敢な投資や冒険をしにくくなる傾向が出てくる。
そのため新たな市場を切り開く「破壊的な革新」は、新生中小企業から起こってくるものだ。
韓国経済は世代交代に失敗している。
老兵の奮戦が目につくだけで、破竹の勢いで成長する世界的な新興有望企業は、韓国を代表する企業のリストにはない。
米経済誌「フォーチュン」に出てくる世界の企業500社にも、韓国からはいつも同じ企業の名前しか出てこない。
また、登場する企業の数も同じだ。全盛期を過ぎた米国でも、設立からわずか10年ほどのグーグル、アマゾンといった
新たな顔が登場しており、新興経済大国の中国では、毎年7-8社の新しい企業が同誌に顔を出している。
未来のアップルやグーグルを夢見る韓国のベンチャー企業家らは、この生態系がしっかりと機能しない責任は大企業にある、
と口をそろえる。
技術を盗み、人材を奪い、分期ごとに納品単価を引き下げるため、まともな成長などできないというのだ。
グーグルは最近、あるモバイル広告企業を買収した。
この企業は設立からわずか3年半、社員150人で、売上高もわずか5000万ドル(約43億円)ほどだが、グーグルはこの企業を
買い取るのに7億5000万ドル(約650億円)を支払った。
また、アップルも同じような規模のクアトロ社を2億5000万ドル(約217億円)で買収した。
これらは韓国の大企業にとっては夢にも考えつかないことだ。
政府は大企業の腕をねじ曲げ、口だけの投資約束を取り付けているが、これははっきりいって無意味だ。
企業は大統領が投資せよと命じたから投資するようなものではない。
収益を上げるチャンスがあれば、大統領が投資するなといっても投資するのが企業の習性だ。
収益が上がりそうもないのに大統領が投資するよう命ずれば、それらしい数字を提示してうそでごまかす。
いつの時代、どのような場合でも、企業の計算方法は変わらない。これが市場と企業の論理だ。
しかし、問題の本質はここにあるのではない。韓国社会と政府、大企業が中小企業の技術とアイデアに正当な代価を
支払う風土をつくり上げなければならない。
これさえできれば、今の大企業の数倍、数十倍の価値を生み出すことができるはずだ。
ニューヨーク=朴宗世(パク・チョンセ)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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